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2006年 09月 10日
代々木上原の駅から歩いて3分。道路を隔てた目の前には「古賀政男音楽博物館」があるのでわかりやすい。地図があれば簡単に行けるだろう。駅前も店はそんなに多くはなく、すぐに住宅街に入る。中華店特有の派手な看板はないが、静かに店の存在を主張している。すでに予約で満席となっているようで、表にその旨のお断りのメッセージボードがあった。
時間になると表の灯りを点しに、地下から女性スタッフが上ってきた。予約の名を告げると階段を下りて、席に案内された。店内はいかにも中華店という内装ではなく、落ち着いたモダンな感じになっている。壁には中国の絵や楽器が飾られてある。 青島ビールと中国の梅酒を頼むと、甘酸っぱいヒヨコマメの煮豆がお通しで出された。食欲をそそる味で、ますますお腹がすいてきたところに彩りの綺麗な前菜が運ばれてきた。 前菜は6種類で、6個のお皿がテーブルの上に並べられた。 「ミニトマト 金木犀のシロップ漬け」ミニトマトは皮を剥いてシロップに漬けられている。甘酸っぱいのだが、酸味はきつくなく優しい味で美味しい。 「青筝とクラゲの和え物」定番だが美味しい。 「アユの四川煮 みかんの香り」鮎を中華料理で食べるのは初めてだ。辛味がアクセントになっていて美味しい。 「万願寺唐辛子の前菜 四川スタイル」は万願寺唐辛子のグリルとピータンの一皿で、四川の味付けがされている。「辣」の辛さをピータンがマイルドにおさえて美味しい。前菜の中で一番辛かった。 「牛ハチノスと牛脛肉のピリ辛和え」とろりとした食感だが、やはり「辣」が効いている。前菜の中で3番目に辛い。 「四川名物よだれ鶏」二番目に辛い。辛いが美味しい。同じ「辣」でも、微妙に味の変化があるのに気づいた。ただ、辛いだけではなく、それぞれの素材と調理法にあった「麻」と「辣」があるのだろうが、微妙な変化をつけるのは結構難しいと思う。この後の料理も期待できそうだ。 前菜6種を食べ終えるとほどなく「ホタテとポルチーニ茸の炒め」が運ばれた。生のポルチーニ茸を使用しているとの事。旬のマコモ茸も入っている。これは上海風なのだろうか?優しいほっとする味になっていて、美味しい。 「エビとフカヒレの淡雪仕立て」はエビとフカヒレを卵白でとじたもので、下に緑豆のピュレが隠れていた。アクセントのトマトの赤が綺麗だ。これも滋味溢れる料理だ。エビの殻も一緒に供されてきたので、味噌を取り出して食べた。ほんわかと優しい味で美味しい。 「ラムチャップの重慶炒め」は四川の味付けで辛くて美味しい。四川のタレがしっかりとついているのだが、骨の周りの肉はラム独特の味が、ほんの少し柔らかく残っていた。 「春雨とウナギの四川煮込み」は平たい春雨が麺のようにタレが絡まって美味しい。ウナギもふっくらと軟らかく旨みがある。 「漢方スープ」は霊芝や烏骨鶏などが入っているそうだ。美味しいとは感じられなかったが、まずくはなかった。 コースに麺もご飯もないとの事で、坦々麺を追加注文した。太めの縮れ麺で、よくかき混ぜて食べる。辛味がよくて美味しい。 デザートは3種類の中から一つ選ぶようになっているので、連れと別々のものを頼んだ。 「ココナッツゼリーと緑豆・ユリ根のおしるこ」は緑豆のおしるこの甘さが今一つ洗練されてなくて残念。ココナッツゼリーは美味しかった。マンゴーソースとかユリ根のピュレならばもっと美味しくなるような気がした。 「2種類の[生の杏仁の実]を使用したぜいたくな香りのアンニン豆腐」は手間隙がかかる本当に贅沢な一品だと思う。元々は[生の杏仁の実]をすり潰して、その汁を固めたものなのだが、生の実から作ると、小さい実の皮を剥いて、それをすり潰してと時間もかなりかかってしまうため、ほとんどの店がすでに加工されたものを使っているようだ。それ故にわざわざデザート名に「生の杏仁の実」と入れたのだろう。甘さはさっぱりとしていて美味しい。やはり杏仁豆腐は四川の「麻」と「辣」で痺れた唇や口内を直してくれるようだ。 メニューを見ていて気になったので「ハスの実あん入りココナッツ団子」を追加した。これが大当たり!上品な甘さで、これだけ美味しいココナッツ団子を食べたのは初めてだ。お持ち帰りしたくなるくらい美味しかった。 食後の中国茶(名前を忘れてしまった)と茶菓子が出された。お茶はほんのりと甘い味がした。 コースに麺もご飯もないというのは不満だったが、メニューの一部を変更して麺やご飯に代えることもできるそうだ。出された料理はどれも美味しく満足のいくものだった。スタッフの知識不足やミスが多々あり、サービスは今一つ物足りなかったが、値段を考えると他人に勧めたくなるくらいコストパフォーマンスも良く、料理も美味しい名店だと思う。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 09月 10日
パークハイアットには久々に来た。ここの『ピークラウンジ』のアフタヌーンティーがお気に入りなのだ。駅から遠いのだが、新宿西口エルタワー前から、無料の送迎バスが出ている。しかし、アフタヌーンティーを楽しむには時間に余裕がないと意味がなく、最近は行っていない。
この日は当日思い立っての外食なため、何軒か電話したのだが、予約は満席で断られる店がほとんどだったが、『梢』は予約できて助かった。さすがはホテル内にある店だ。キャパが広いので当日でも余裕があるのだろう。ただ、失敗したのは、予約の際「窓際の席にしてください。」とお願いするのを忘れていたことだ。眺望の良い窓際から予約は埋まっていく。この店の魅力の一つは40階からの夜景だからだ。残念だが仕方ない。 この店には何度か来たことがあるのだが、この日は入り口がどこかわからなかった。今までは開店している時間に訪れていたのだが、この日は予約が開店と同時で、10分くらい早く着いてしまったのだ。扉が開いている時といない時では、ずいぶんと印象が変わるものだ。近くのソファに座って、開店するのを待った。 5時30分。開店で扉が開かれた。いつもの見慣れた「梢」の顔になり、なぜだが安堵した。入り口で予約の名を告げると席に案内された。窓際と通路を挟んだ席だ。夜膳の「匠」を選び、梅酒を飲みながら料理を待つ。コシノジュンコプロディースの梅酒ということだが・・・なにがどう違うのだろうか?と言う感じだ。ただ、甘みはあるのかないのかのぎりぎりのラインで、料理の邪魔にならず、すっきりとした味わいとなっていて、美味しい。 「先付」2種の一つは、鱧の皮を霜降りに焼いてある生のものと湯引き鱧だ。梅肉と黄身酢が用意されていて好みで付けて食べる。梅肉より黄身酢の方が美味しいように思った。 もう一つは、赤イカのお造りに莫久来が・・・。注文をした時に苦手なものはないかと尋ねられたのだが、今まで出てきたことがなかったのであえて言わなかったのだが、ホヤは苦手だ。 「莫久来(バクライ)」は海鼠腸とホヤの塩辛だということだ。高級珍味とのことで、おそるおそる口に入れてみた。「生臭くない?!」不思議だった。どちらかというとまろやかな旨味がある。海鼠腸のおかげなのか、嫌悪感よりも高感度が高い。いや、美味しい!塩雲丹のような感じでお酒が進む美味しさがある。以前食べたホヤは生臭く、口に一秒足りとも入れておくのが嫌な味だった。いくら海鼠腸が好きだからといっても、それが打ち消されるはずもないだろう。ホヤもまた、「ピンからキリ」が強くある食材なのだろうと思った。 「椀盛り」は江の島椀というサザエと黄ニラのたっぷりと入った椀だ。 「造り」は氷が敷き詰められた深皿に三本の氷柱が立てられていて、その上に蓮の葉が乗せられた涼しげな演出だ。トロ・真子鰈・新秋刀魚のお刺身はどれも脂が乗っていて美味しい。 「八寸」は、鱧寿司・鱧の子の煮凝り・穴子八幡巻き・土佐トマト・合鴨ロース・玉子のカステラなどが大皿に彩りよく綺麗に盛られてきた。穴子八幡巻きや玉子のカステラが美味しかった。 「焼物」は米沢牛岩塩焼きだが、岩塩は自分の好みで調整できるようにしてあると嬉しい。岩塩が多くて、しょっぱかったのが残念だ。 「進肴」は加茂茄子苺煮だ。海胆は火が通って甘さが増していて、加茂茄子との相性もよく、とても美味しい。 「食事」は「かつお冷し汁ご飯」を選んだ。珍しいのもあり食べてみたかったのだ。最初は冷し汁をかけずに一口食べてから、冷し汁をかけて食べるよう仲居さんに言われたので、その通りにしてみた。断然冷し汁をかけた方が美味しい。暑い時期にぴったりの暑気払いのご飯だ。食欲がなくても、さらさらとかっこむことができそうだ。 「デザート」はトマトの塩アイスクリーム・黒豆だ。氷を敷き詰めた皿の上に最中を乗せて出された。最中の中にトマトの塩アイスクリームとバニラアイスクリームが入っている。トマトの塩アイスクリームは・・・「これって美味しいと思って出されているのだろうか?」と疑問を抱いた。「ちゃんと試食している?」「なぜ、わざわざ塩を使うの?」と段々と腹が立ってくる味だ。これだけ嫌悪感を抱いたデザートは生まれて初めてかもしれない。良い材料をわざわざ味を落とす必要もないだろうに、料理人の考えが理解不能だ。「口に合わない」とか「残念」という言葉では表せないくらい不快になってしまった。 料理はほどほどに美味しいし、夜景も綺麗だし、さすがにホテルの中だけあって、接客態度は悪くない。が、人数が足りないようで、サービスに満点はあげられない。料理に関する知識も今一つで、質問に答えられず、何度も厨房に聞きに行っていた。 値段を考えると、料理以外に掛かっているものが高過ぎるのであろうと思われるくらいコストパフォーマンスがあまりにも悪い。料理の味よりも、雰囲気重視のデートやアニバーサリーなら良いかもしれない。しかし、同じ金額を出して食べるのならば、他の店の方が良いと思った。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 09月 05日
上野毛駅の改札を出て、目の前の環八を渡って5分くらい歩くと、目印となる唐辛子のように赤い看板が見えた。お店は古いビルの2階にある、極普通の町の中華屋さんと言った感じだ。予約の名を告げると席に案内された。丸いテーブルで一方を壁につけていて、椅子は3脚あるが、セッティングは2人分だ。
壁には棚があり、自家製と思われる薬用酒の数々が置かれている。興味を持ち、見てみると…蛇を切ったものが入った瓶もあった。実家でもトグロを巻いた蛇がそのまま入っている焼酎瓶があったので、さほど気にはならなかった。高麗人参などが入った薬用とみられる酒瓶もあった。 他に紹興酒等も置かれていたのだが、目を引いたのはその上の壁に飾ってある額だった。中には「中国酒類鑑定士認定証」が入っていた。中国酒のソムリエ?のようなものだろうか。わざわざ飾ってあるということは何か意味があるのだろう。 予約の時にコースは頼んであるので、ビールを飲みながら料理を待つ。前菜3種のうち2皿が運ばれてきた。 「もやしの湯葉巻」と「棒々鶏」だ。棒々鶏は今まで食べた中で一番辛いものだったが、それが美味しくてビールが進む。見た目もやや赤いのだが、辣油の色なのだろう。続いて3つ目の「煮鮑」が運ばれた。柔らかく優しい味となっていた。 「鴨の燻製の揚げ物 ムシパン添え」は、酢をたっぷりとかけると美味しい。そのままではボソボソしている。ムシパンはふかふかでほんのり甘く美味しい。 「ほたての炒め物」は、ほたてと一緒にマコモ茸・グリーンアスパラ・葱が炒めてある。 「牛肉細切り甘味噌炒め 中華風クレープ添え」は、これでもかというくらい牛肉炒めがお皿に盛って運ばれてきた。クレープは一枚だけだったので足りず、もう一枚追加したのだが、それでも具の量がかなり多いくらいだったが、巻いて食べるのは美味しい。 「殻付き大海老 四川唐辛子・カシューナッツ・甘草炒め」。海老の殻はとても外しやすいように包丁が入れられているようだった。辛い!「辣」が効いていて辛いのだが、美味しい。海老もぷりぷりしていて、カシューナッツと甘草の甘みとの相乗効果で美味しくなっている。 「フカヒレと冬筍、椎茸細切り煮込み」は二口が限界だった。私の口には合わず残念だった。 「麻婆豆腐」には塩納豆が入っている。これは『隋息居』と同じだ。しかし、こちらは胡椒を効かせておらず、「辣」と「麻」の四川の味と感じた。辛いが美味しい。これが四川の醍醐味のように思う故なのだろうが、美味しいものは美味しい。麻婆豆腐はご飯と一緒に食べるのが一番好きだ。 「坦々面」もフカヒレと同じく、私の口には合わず残念だった。基本のスープがフカヒレの煮込みと同じように感じた。 デザートは「杏仁豆腐」だ。四川では杏仁豆腐にスキムミルクを入れるのだろうか?無知で恥ずかしいのだが、「陳健一」の杏仁豆腐がスキムミルクを入れる変わったものだと思い込んでいたのだが、この店でもスキムミルクを入れているように感じた。 四川の辛い料理の後は、このすっきりした杏仁豆腐を食べると口の中がさっぱりとして辛さも消えてしまう。他のデザートが食べてみたくなるくらい杏仁豆腐は美味しかった。 お店の雰囲気やサービス等と料理を総合的にみて、料金が高過ぎると思った。半額くらいなら納得がいくくらいだろう。私たちの追加がクレープのみというくらい量は多目だが、それを差し引いてもコストパフォーマンスが悪すぎると思った。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 08月 29日
残暑厳しい8月下旬。蝉の合唱もまだまだ衰えず、少し歩いただけで前身が汗ばむような暑さの中、赤坂へ食事に行く。タクシーを降り、ゆっくりと歩きながら店を探す。ラブホが視界を大きく占めたのには驚いたが、これが目印になっていると聞き、辺りを見回すと電柱の横に「菊乃井」の看板が見えた。
喧騒とした街の一角に、古き良き時代の日本情緒溢れる門やそれに続く石畳がある。この日は曇っていたこともあり、夕方とはいえ、まだ早い時間ではあったが、灯篭に灯が灯されていた。日本人だからなのか、年齢がそういうものに反応しやすくなっているのか、自然と気分が高まる。 水を打った石畳を歩いて行く。両脇には竹の並木が続いていて、所々に祠のようなものがある。東京であることを忘れ、古都にいる気分になった頃、お店の玄関に辿り着いた。戸は開いていて、中に入ると制服の女性が出迎えてくれた。 予約の名を告げると二階の個室へと案内される。部屋の戸を開けると一畳ほどの空間があり、もう一つ戸がある。二枚目の戸を開くと中央に高膳が置かれているのが目に入った。思わず「テーブルではないのですか。」と仲居さんに聞いてしまった。 遠い昔の初釜の席での苦い体験が思い出された。その時の茶事は濃茶まであり、相当な時間、正座をしていた為に、終わった時は足がかなり痺れていて、しばらく立ち上がる事もできずに難儀したのだ。連れが「良いよ。」と言うのと、今日は正座しなくても、二人だけの個室なので、気楽に食事することにした。 部屋は茶室仕様になっていて、床の間がある。そこには掛け軸がなく、代わりに絵が飾ってあった。アニバーサリーの時は、その内容に応じた掛け軸が掛けられ、普段は絵を掛けてあるそうだ。 生ビールを飲みながら、お酒のメニューを眺め、料理を待つ。すでに予約の時に二万円のコースをお願いしてある。二階の個室は二万円からの利用となるそうだ。お品書きは特には用意していないそうなのだが、仲居さんに頼んで貰った。梅酒もロックでもらう。梅酒は適度の甘さはあるのだが、くせはなく、さっぱりとしていて料理の邪魔にならないどころか、料理の味を引き立てるくらい美味しい。料理の邪魔にならない梅酒は初めて飲んだと思う。 猪口は「無花果西京煮 辛子あん 糸鰹」だ。涼しげな硝子の器にこんもりと盛られている。辛子あんは辛味も酸味もあって食欲をそそり、無花果との相性も良く、とても美味しい。 八寸はホウズキの器に入った「ささげ黒胡麻和え」「山桃葛饅頭」「糸瓜胡麻和え 鱧水玉胡瓜」が、れんげのようなスプーンには、「鱧の子煮凝り鶉温泉玉子 振り柚子 生うに」が入っていた。このれんげに入ったものこそが、私の好きな味の根本なのだろう。美味しくて、おかわりしたくなったくらいだ。海胆のまったりとした甘みと濃厚な玉子の黄身の旨味が口中に広がる。日本酒が欲しくなった。山桃はお酒に漬けているのだろうが、雑味も厭味もなく、さっぱりとした甘みで美味しい。 向付は蓮の葉を器にして敷いてあり、蓮の花弁が被せて供された「明石天然鯛 近海鮪鴨川海苔」だ。こういう演出は好きだ。かなり上質の大人のアミューズパークで遊んでいる気分になる。お造りの鮪は口の中で蕩けた。久々に「脂が美味しい!」と感じた。厚切りの鯛も、甘みがあって美味しい。 2種(八月御献立に「2種」とだけ書いてあった)は「淡路鱧落とし・小2貫 鱧焼霜造り 煎り酒ゼリー」だ。煎り酒ゼリーはやや塩気が強く、少しつけるだけで良かったようだ。連れと付けるゼリーの量が全然違っていた。ついついたっぷりとつけてしまうのは悪い癖だ。 蓋物は「穴子豆腐 田中唐辛子 洗い葱 染めおろし 針海苔」だ。軟らかい豆腐の中にふっくらとした穴子が入っている。 焼物は「鮑磯焼き 鮑 雲丹 若布」で、鮑の殻に塩釜のような蓋がされていて、仲居さんがそれを外して供してくれた。蓋を外すとたっぷりの若布で覆われている。中には鮑に海胆が挟んであり、塩と柚子・タレ・肝ソースの3種類が用意され、好みでつけて食べる。若布はタレ、鮑は肝ソース、海胆は塩が一番合うと思った。鮑も軟らかくとても美味しかったのだが、海胆は、それにも増して甘く口福を味わうことができた。最後の晩餐に食べたい一品と言っても良いくらい気に入った美味しさだ。 酢物は「葛素麺 花付き胡瓜 冬子椎茸 車海老艶煮 針茗荷 卵豆腐」で、氷の器で供された。見た目も涼しく、夏を感じさせるのだが、急いで食べないと葛素麺の食感が悪くなるのは難儀だ。海老は味噌まであり美味しかった。大葉を敷いてあるのだが、大きな塊の氷の冷却力は強い。お品書きに八寸のところに書いてある「新銀杏酒煎り」と「畳鰯」がここで供された。出るタイミングが悪かった。 強肴は、炭の入った七輪に船の形をした器が乗せられて供された。「夏野菜鍋冬瓜あんかけ 蛸やわらか煮 冬瓜 加茂茄子揚煮 オクラ 小芋」が器の中に入っている。茄子と小芋はとても美味しいのだが、蛸が全く口に合わず残念だった。 御飯は「鮎御飯 木の芽と粉山椒」で、板前さんが部屋で給仕してくれた。鮎御飯のように、骨などを外す作業の必要なものの時は、板前さんが給仕し、筍御飯のように混ぜるだけで供することのできるものの時は、仲居さんの給仕となるそうだ。鮎御飯は香りも良く美味しかったのでお代わりした。留椀の「赤万願寺唐辛子すり流し 蓮根餅」は、見た目も赤く、赤ピーマンかトマトのスープのようで、味は良かったのだが、御飯とはあまり合わなかったのが残念だ。蓮根餅はもちもちしていてとても美味しかった。 デザートは2種類から選ぶようになっていたので、連れと別々にお願いし、味見した。「マンゴプリンとグレープフルーツシャーベット」と「黒蜜アイスクリームと黒胡麻豆腐」なのだが、やはり洋風のものより和風のものの方が美味しかった。「黒胡麻豆腐」はもちもちしていて外郎のような葛餅のような、もちもちとした食感で、くどくない甘さなので、甘味の苦手な男性でもいけるだろう。 大将が挨拶に来られ、「この後お抹茶をお持ちいたしましょうか。」と聞かれるのでお願いした。これはコースとは別料金だと後で知った。確かにお品書きには入っていなかった。 干菓子は薄めの胡麻のクッキーで、薄茶を頂いた。やはり懐石料理の〆はお抹茶だとつくづく思った。水菓子や適当なデザートで終わらせる店も多いのだが、やはり、最後はぴしっとお抹茶で私は締めたい。 外装・内装とも和が感じられて落ち着ける上質なものなのだが・・・日が悪かったようで、隣室にどこかの居酒屋と間違えているような客がいて、その嬌声が響いた。お店に似つかわしくない客も来ているようだ。トイレのペーパーホルダーまで木製なのには感激した。入室するとセンサーが作動して、トイレの蓋が開くのも嬉しかった。 ほんのちょっとの事かもしれないが、そのちょっとの差で、客は楽しめたりがっかりしたりするというのがわかっているような気がした。もてなしという気持ちが伝わってくる。料理も値段に見合った以上のものだったし、サービスも行き届いている。楽しめる大人のアミューズパークだ。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 08月 29日
地図を頼りに、番地を辿りながらお店に着いた。外観は可愛らしいテラスがあり、奥へと続く道があった。進んで行くと玄関がある。スタッフがドアをさっと開けてくれ、予約の名前を告げると、席へと案内された。6時という早い時間だったため、先客は2組のカップルだけだ。
シェフの田舎の桃(すでに白桃ではなく黄桃だった)を使ったペリーニを飲みながら、メニューを選ぶ。ペリーニはさっぱりした甘さだ。やはり黄桃よりも白桃の方が美味しいのだろうが、一流店でもネクターを使う店が結構あるので、生の桃を使っているのは嬉しい。 アンティパストは「茗荷のピクルス」が出された。生の茗荷は苦手なのだが、火を通したり、酢漬けにしたりしてあるものは食べられる。 前菜は「フォアグラのテリーヌ シェフの田舎の桃のスープ仕立て」を選んだ。黄桃とネクタリンを混ぜ合わせたとか?桃と林檎をかけあわせたネクタリンだとか?よくわからない説明だが、シェフの田舎の桃で作ったソースを使っているとの事だった。フォアグラはテリーヌよりソテーの方が好きなのだが、このテリーヌは舌触りも風味も良く、ソースとも良く合っていて美味しい。ソースには黄桃をクルトンのように切ってちらしていた。 魚料理は「尾長鯛とマコモ茸のソテー 蛤のソース」を選んだ。尾長鯛の皮がぱりっと焼かれていて、とても美味しい。マコモ茸の他、島オクラも添えてある。蛤のソースも味が良い。島オクラの説明を聞いていると野菜等の知識が乏しい事が露見する。本土のオクラも放っておけばもっと大きくはなるのだが、味覚が悪くなるので小さいうちに収穫するのだ。野菜ソムリエほどの知識は無理だとしても、旬に使う果物や野菜の知識くらいは知っていて欲しいものだと思った。(ネクタリンは桃と林檎を掛け合わせたと説明があったが・・・違うと思う・・・) パスタは「冷製タリオリーニ 釜石直送の赤雲丹と茄子のソース」を選んだ。(ちなみに生のウニなので本当は「海胆」なのだがメニューには「雲丹」と表示されている。「雲丹」は塩蔵加工品に使われる。私も知ったのは最近だ・・・)このパスタには赤海胆がたっぷりと乗せてあり嬉しくなった。また海胆がとても甘くまったりと濃厚で美味しく、茄子との相性も良い。タリオリーニの茹で具合が悪かったようで、それは残念だった。 パスタを一品追加した。ニョッキが食べたかったのだが、用意がないとのことで、耳たぶのようなパスタ「オレキエッテ」に「オマール海老のフレッシュトマトソース」を頼んだ。オマール海老はぷりぷりしていて、フレッシュトマトのソースは生海苔が入っていた。トマトと生海苔がこんなにも相性が良いとは初めて知った。ぴりっとした唐辛子がアクセントになっていて美味しい。ただ、オレキエッテは期待したものではなく残念だった。 パスタのもう一品は「トロフィエ スカンピ海老のトマトクリームソース」を選んだ。スカンピ海老も美味しく、まろやかなトマトクリームソースもぴりっとした辛味がアクセントになっていて、美味しい。これもまた、ソースは美味しいのにパスタがいまいちで残念だ。 メインは「イベリコ豚のロースト」に「フォアグラのソテー」を加えてもらった。グリーンアスパラと葱のソテーが添えてある。連れは「鮑のステーキ」に「フォアグラのソテー」を選んだ。「フォアグラのソテー」は表面がぱりっと焼かれていて美味しいのだが、甘いソースがないので物足りず残念だった。 「イベリコ豚のロースト」はやや塩気が強く、量がかなり多い。山葵で食べるように添えてあるのは意外だったが、よく合っていてさっぱりした美味しさだと感じた。しかしながら脂身も多く、大食漢の私が残してしまったくらいだ。連れの鮑も味見させてもらった。肝も一緒にソテーして添えてあり、一緒に食べると美味しかった。 デザートは7種類くらいの中から2種類を選ぶようになっている。連れと二人で「桃のプリン」「マッサ特製わらび餅」「マスカルポーネチーズのスフレ」「リコッタチーズのケーキ」を選んだ。 「桃のプリン」「わらび餅」にはキウイのソルベと無花果・メロン・葡萄などのフルーツが添えられている。「マスカルポーネチーズのスフレ」と「リコッタチーズのケーキ」にはマンゴーのソルベとフルーツだった。 デザートの頃には、客は私達を入れて14名ですべてカップルだった。隣の席にもデザートが運ばれてきたのが目に入ったのだが、ソルベが違った種類のようで白いものだった。チョコレートケーキだったので、それぞれ選んだデザートによりソルベは何種類か用意していて、味のハーモニーを考えて出されているようだ。 「桃のプリン」はよく味わうと微かに桃の味がした。「わらび餅」はドライ無花果が入っていてミルク風味で、まろやかな優しい味だ。口の中でとろけるような軟らかさも良い。「マスカルポーネチーズのスフレ」にはフィンガークッキーが添えられていた。「リコッタチーズのケーキ」はとてもしっとりとしていた。が両方とも凡庸な味だった。 食後のドリンクは、エスプレッソ・紅茶・ハーブティーから選ぶ。エスプレッソを頼むと「シングルとダブルのどちらに致しますか」と聞かれた。珍しいものだからダブルで頼んだら、普通のカップにたっぷりとエスプレッソが注がれていた。小菓子はチョコレート・オレンジピール・ビスコットが出された。連れは最後に食後酒としてグラッパを一杯飲んだ。私は食事時に頂いた白ワインで十分だった。 焼き加減やソースがとても美味しいのにパスタが力不足のようでとても残念だった。手作りに拘っているようだが・・・。内装もシンプルで綺麗だし、テーブルは10卓で、サービススタッフは3人なのでサービスも行き渡っていた。トイレはダイニングから離れていて使いやすい。 帰る際、シェフが慌てて出てきて見送ってくれた。私達が食後のエスプレッソを楽しんでいる頃にやってきた客のもてなしで忙しいのだろう、息が切れていたようだ。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 08月 29日
町田街道沿いにある「随息居」は息子の直城氏により高名となったようだが、見た感じは極普通の町の中華屋さんだ。古い建物を想像していたのだが、思ったより新しいのか、改装したのか、わからないがとても綺麗だ。
中に入って・・・しばらく戸惑ってしまった。店内に入ったのに店のスタッフが気づいているのか気づいていないのか背を向けたままなのだ。店内のテーブル席のいくつかに「予約席」のプレートが乗っていて、すでに箸などがセットされていた。2人分のセットがしているのは1つだけだったので、自分達の席だとわかったのだが、やはり案内されないうちに座るわけにはいかない。忙しそうに手を動かしてはいるのだが、いつまでも突っ立っていては他の客にも迷惑だろうと声を掛けた。 瓶ビールを頼んで料理を待つ。他には家族連れとカップルの二組の客がいただけなのだが、なかなか前菜すら出てこない。家族連れの方には次々と料理が運ばれているし、カップルの方のテーブルは料理の皿でいっぱいになっている。 やっと「前菜」のひとつの「ピータン」が運ばれた。と思ったら、「砂肝」が続いて運ばれてきた。ピータンの味も砂肝も美味しい。ビールがますます美味しくなってきた頃に「蛸と胡瓜の炒め」が運ばれてきた。・・・あまりにも胡椒が強い!取り皿に残っていたピータンのタレなどで洗って食べたのだが、それもでも胡椒は効いていた。美味しいと感じられる量の境を越えた胡椒の使い方だと思った。 「金醤鰻魚」という鰻の細切り炒めが運ばれてきた。これは美味しい!ふっくらとして油の乗った鰻を甘辛い醤油タレで味付けしてある。それに胡瓜の千切りと白髪葱が添えてあり、味の濃さの調整ができた。 「樟茶鴨子」という合鴨のスモーク風味が運ばれた。スモークの風味は良いのだが、ややぼそぼそっとした食感が私の口には合わない。添えられていた花巻パンは甘みもありふっくらしていて美味しい。鴨肉がもう少ししっとり水分があれば美味しく感じられたのかもしれない。 「小龍包」は蒸篭の蓋を取ると、白ではなく半透明の皮だったのが珍しいなと思ったのだが・・・持ち上げるとすでに底が破れていてスープはすべて流れ出していた。スープの入っていないものは小龍包とは言えない。肉の味付け等は良かったのだが・・・。 「黒酢」と「千切り生姜」が供されないのでは「小龍包」もただ小さいだけの肉まんといった感じでこれもまた残念だった。コースではなく追加したものだったが、追加しなければ良かったと後悔した。 「宮保明蝦」は大エビとナッツの甘酢唐辛子炒めだ。エビチリと似てはいるが、唐辛子の乱切りがざくざくと入っている。凡庸な味だ。 「おこげ料理」は筍となまこと茸とグリーンピースが入っている。連れは酢がきついと言っていたが私は全く平気だった。酢が強いのは平気なのだが、塩や油・胡椒がきついのは苦手だ。これも胡椒が強過ぎる。味見をしていないのでは?と思うくらいひどい味だ。 「麻婆豆腐」も胡椒が強過ぎる。『景徳鎮』ほどではないが、近いくらい胡椒が強い!麻婆豆腐の辛さは胡椒ではなく、辣油と山椒の辛さでこそ美味しいと感じられるのではなかろうか。 『陳』の麻婆豆腐の二種類の山椒を使った絶妙な辛さの旨味を知っているだけに、胡椒で辛さをつけている麻婆豆腐は口に合わない。御飯をもらって食べられたけれども残念だった。 「スープ」は冬瓜と豚肉のスープだ。山椒が浮かべてある。豚肉の臭さが気になった。 あまり時間はかからないというので追加で「春巻き」を注文した。凡庸な味。 「壽桃」というカスタード饅頭を追加で注文した。2個が蒸篭に入ってきた。小さいものなので軽くお腹に入った。カスタードは甘すぎず、ミルクの風味が効いていて美味しい。これは追加して良かった。デザートはこの饅頭と杏仁豆腐くらいしかなかった。途中で注文した杏酒のカクテルもジュースのようで美味しかった。 コースのデザートは「杏仁豆腐」だ。葡萄とキウイとオレンジが乗せてある。先に果物を食べる。後からだと酸味を強く感じるようになってしまうからだ。杏仁豆腐は好みの柔らかさではなく、好みよりはやや固いのだけど、ほどほどの軟らかさはある。甘みもちょうどよくて美味しい。胡椒で辛さが残っていた口中がすっきりとした。四川料理で麻婆豆腐の後に杏仁豆腐を食べるのはこのためなのかとも思うくらいだ。 都心からかなり離れた場所で駅からも遠い。利便性が悪いだけでなく、料理もいまいち。息子さんがいないとだめなのだろうか。ごく普通の町の中華屋さんだ。柄の悪い客もいれば、TシャツにGパンの家族連れもいたりするお店だ。それでも客層が悪いと感じなかったのは、五月蝿くもなく、迷惑をかけられたわけでもないからだろう。「金醤鰻魚」とデザートだけは美味しかったが、他は残念だった。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 08月 16日
ハイビスカスが喜びそうな強い日差しの夏日に「うかい竹亭」に来た。八王子の山の中にあり、隠れ家的な料亭だ。高尾山口駅には無料の送迎バスが出ている。車で行けばお酒が飲めないので、やや不便ながらも八王子まで電車に乗って行った。
いかにも老舗と言った構えのお店で、山々に囲まれた自然の中にあり、6月から8月初旬までは蛍狩りも楽しめるそうだ。期間が長いことからヘイケ蛍からゲンジ蛍まで幅広く生存していると思われる。敷地内に流れる川の水も澄んでいて綺麗だ。 予約の名前を告げると待合室のあった敷地から、道路を渡って別の敷地に移動するのに驚いた。二十軒ほど個室があるそうで、平屋ばかりなので敷地はかなり広そうだ。和室で畳敷きなのだがテーブルに椅子という席だったので楽で良かった。 部屋から中庭を見ることができ、他の部屋は廊下の向こう側なので、かなり落ち着く。中には隣との境が襖だけという部屋もあり、隣部屋の声がよく聞こえるところもあるそうだ。食事の相手によっては予約の際にその旨を伝えた方が無難だろう。 生ビールを飲みながら食事を待つ。梅酒のロックも追加した。 「先付」は鮑・車海老・海胆だ。ゼリー状の出汁が夏らしく、とても美味しい。 「前菜」は「朝顔や 釣る瓶取られて 貰い水」という俳句がテーマとなっている一品で、器の上に釣る瓶や本物の朝顔が飾ってあり見事だ。これには、ぶどう豆・茗荷すし・鰻印籠煮・うるか・胡瓜なまり節和えものが江戸切子等の器に入っている。これらは食べる前までで、仲居さんが取り分けてくれる。どれを食べてもなかなか美味しい。日本酒を頼んで肴にした。 「吸い物」は鱧葛たたき・じゅん菜だ。これは鱧の骨切りがいまいちで葛のかかり具合もお粗末で残念だった。 「造り」は鮪・縞鯵・真鯛・赤貝だ。海から遠いわりには美味しい。 「冷やし鉢」は加茂茄子・鴨ロース煮・オクラ・白ずいき・銀あんだ。これも夏らしい一品で美味しい。 「焼肴」は鮎笹焼 蓼酢だ。七輪の上に笹が敷いてあり、その上に焼いた鮎が乗せてある。笹の香りが良い。鮎に笹の風味は感じられなかったので、これもパフォーマンスだけのようだ。しかし、鮎はほどほどに美味しい。 「強肴」は京丹波牛網焼きだ。肉は柔らかく、量も少なめなのでおいしく頂けた。 「飯」は鮎雑炊だ。大葉が入っていてさわやかな味となり、するするとお腹に入っていく。鮎の雑炊もなかなか美味しいものだ。「香の物」は大根・胡瓜・塩昆布。 「水菓子」はグレープフルーツのゼリーだ。グレープフルーツの皮を半分にしたものを器にして固めてある。さっぱりとして美味しい。 やはり最後は甘いものが欲しくて「お抹茶と和菓子」をコースとは別に追加で頂いた。和菓子は「水まんじゅう」で季節を感じさせる。くどくない甘さで舌触りも良い。 帰路は送迎バスを利用することにした。その旨を伝えると入り口近くの待合室で待つよう言われた。囲炉裏などあり風情のある待合室でバスの到着を待つ。お土産なども売ってあり、待っている間にあれこれ見ていて、思わず可愛らしい巾着袋があったので買ってしまった。 食事が運ばれてくる間が少し気になったけれども、のんびりと中庭を眺めながら連れと会話が楽しめた。スケジュールなど気にせずにゆったりと食事するためだけに訪れると良いと思った。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ ![]() 2006年 08月 16日
「ちんや」は雷門の近くにあり、わかりやすい場所にある店だ。店の隣ではお肉も売っている。牛鍋屋の数は明治初期から減り、数は少なくなっているそうだ。店に入ると、下足番がいて番号札を渡される。
予約の際、個室料金は取らないと言う事だったので個室をお願いしておいた。個室の場合、5,000円からのコースとなる。外装や部屋のあちこちに伝統を感じさせるものがあるのだが、トイレは近代的で広く、綺麗だ。 まずはエビスビールで喉を潤した。お通しは冬瓜を葛で固めたものに蟹あんが掛けられている。 ほどなくコースのすき焼きが始められる。関東風で割下を使うが、「焼く」というよりは「煮る」という感じでたっぷりと割下を鍋に注いでいる。この店の最初は仲居さんが作ってくれて、後は自分達の好みで肉や野菜を足していく。「ざく」は白菜・長葱・椎茸・麩・白滝・豆腐・春菊だ。 「桐」の特上肉はきれいなさしが入っていて、とろけるように美味しい。今回はお肉の追加は止めようと店に入る前に話していたにも関わらず、他のランクの肉も食べてみたくなり、「楓」の上肉と「椿」の肉を一人前ずつ追加注文した。それに伴って玉子と御飯も追加した。 美味しいのだが・・・さすがに2人前の肉は、量が多くお腹いっぱいになってしまって残してしまった。お茶とデザートが運ばれる。デザートはオレンジだった。 個室からの注文は部屋の電話からするようになっている。呼び出し音が廊下の先で聞こえる。しばらくして注文したものが部屋に届けられる仕組みになっている。個室はテーブルのある洋室もあるが、和室も掘り炬燵になっているので大変楽だ。 壁に掛けられている絵や「ちんや」という文字が切り抜かれた障子の枠に歴史を感じる。ゆっくりと文明開化の味を味わうのなら個室がお勧めだ。デートでも家族でも気兼ねなく食事ができる。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 07月 30日
道路沿いにあるにも関わらず見過ごしてしまった「ピエモンテ」は本当に隠れ家的なお店と言えるだろう。表のドアには「要予約」の札があり、インターホンで呼び出すようになっている。
一歩店の中へ入ると、異国の地へきたかと思わせられる。飾ってあるワインのコルクの数にも驚いた。他にもイタリアを思わせる小物や装飾品の数々が、所狭しと飾られている。この日の客は2組だけで、私達と中年の女性の二人連れだけだった。後から来た二人が席につくと細木数子女史に似たマダムは入り口のドアの鍵を閉めた。予約客が揃ったら入り口の鍵をかけるのは『厲家菜』以来だ。 予約の時にすでにコースをお願いしているので、スプマンテを飲みながら料理を待つ。カウンターの上にはマンゴーやミントやチコリなどが飾られている。食器棚にはメニューの札が貼ってある。 アンティパストの準備をしながらマダムはいろいろと聞いてくる。客がどのようなお店に行っていて、どのくらいの頻度で外食しているのかを探っているようだった。私がこのお店の記事を見ていないと知ると「いろんな雑誌に載っていますよ」とコピーや切り抜きのファイルを見せてくれた。 アンティパストが運ばれてきた。大きなお皿にぐるりと色とりどりの料理を並べてある。根セロリの酢漬け・レバーのハーブ煮・人参のグリル・黒オリーブのペースト・茄子のグリル・茄子の酢漬け・鰊の酢漬け・パプリカのグリル・ひよこ豆・パンナチェッタなどだ。パンナチェッタとはパンと7種類の野菜で作るそうだ。酢漬けはどれも酸味が強く、それが好きな私には良かったが、連れはむせていた。 次に出てきたのは「ピエモンテ風エスカルゴ」だ。パンが添えられていて、ちぎって浸して食べる。とっても美味しい!2個では物足りないくらいだ。ニンニクバターで味付けされているエスカルゴも好きだし、美味しいと思っていたが、ピエモンテ風があれば次回からはそちらを選ぶだろう。しかしながら、ピエモンテ風は手間がかかるらしく「若い料理人は作らない」とマダムは言っていた。 「オマールエビの冷製スープ」は海老の出汁がよく効いている。2、3口まではとても美味しく感じたのだが、食べ進むうちにしょっぱくなってきたのは残念だ。 「ヤリイカのポルトフィーノ風」は酸味の効いた一品だ。 「スカンピエビのグリル」は塩気が強く、私の口には合わず残念だった。 メインは「ポルチーニ茸と牛肉のピエモンテ風」だ。ポルチーニ茸はとろけるように柔らかいし、牛肉も美味しい。しかしながら、トリュフのピュレが入っているというソースは塩辛すぎて私の口には合わない。『北島亭』や『タテルヨシノ』で食べたメインの料理と同じように感じた。この辺りですでにミネラルウォーター3本を連れと空けていたのは、やはり料理の塩加減に関係していると思われた。 パスタは、シェフが辛いのが平気かどうか聞いて、平気だと答えたら「アラビアータ」となった。残念なことにパスタ自体に旨味が感じられず、ソースはとても辛かった。『景徳鎮』のマーボー豆腐を完食できるくらいなのだが、旨味のない辛さは苦手だ。 ドルチェは「リコッタのモンテアビンゴとメロン」は、バニラアイスのような自家製リコッタチーズと完熟したメロンが良く合っている。とても美味しい。 「エスプレッソ」の後、会計をお願いしてから、食後酒を頂いた。連れはワインの飲みっぷりから「グラッパ」を、私は「レモンのリキュール」を氷と水で割ったものだった。「レモンのリキュール」は38度とかなり強いが、割っているのと量は少ないので、お酒のあまり強くない私でも大丈夫だった。ほんのり甘く酸っぱくお酒でした。 マダムにサービスされる度に「細木数子女史」が浮かんできてしまうくらい似ているのは、同年代のせいもあるのだろうか。化粧の仕方がかなり似ていて(特に眉)、髪形も同じようにショートカットでオールバックにしているせいかもしれない。しゃべり方の押しの強さもあるだろう。隣の客は褒めまくるものだから自慢話に花が咲いていた。 お店を出る時にシェフは厨房から出てきて、マダムと一緒に見送ってくれた。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 07月 30日
地図が大雑把なせいもあり、お店がなかなか見つからない。番地はほぼ合っているからと、その一角をぐるりと回っていくと、やっとそれらしき灯りが見えた。周りはお店らしいものがほとんど見当たらない。看板を確認して、ほっとしてお店に入った。
真っ白な内装に真っ赤な写真が最初に目に入ってきた。かなり強烈な味なのかと、一瞬『景徳鎮』を思い浮かべてしまった。目でモノを言う感じのするマダムに、左奥の4人掛けのテーブルに案内された。 エアコンのスイッチは入れておらず、入り口のドアと非常口のドアと窓が開け放されている。雨が降ったり止んだりの芳しくない天気だが、この日は暑くもなく、ちょうど良い感じだった。 すでに注文したいものは決めていたが、マダムの説明を聞きながらメニューを組み立てる。一皿が2~3人前ということなので、連れとシェアすることにした。青島ビールを飲みながら、料理を待っていると、常連客が次々と入ってきた。 「上海ソーセージ」は噛締めると甘く、チリソースで食べる。よく晒された白髪葱がより美味しくさせる。前菜に最適な一品でとても美味しい。 「マコモ炒め」は今が旬でマダムのお勧めだ。とてもシンプルな料理で、切って焼いて軽く味付けしてあるだけのようだが、優しい味だ。香草が添えられている。 「春巻き(2本)」は皮を剥いた海老を丸ごと巻いてある。マダムが「お酢だけでも美味しいですよ。」と言われたので、半分はお酢だけで食べてみた。これがあっさりしていて美味しい。残りの半分は醤油をたしてみたが、こちらも美味しい。 「玉子トマト炒め」は、ふわっとした卵とトマトの甘い優しい味でとても美味しい。スープに白飯を入れて食べる事もできるそうなのだが、私達はスープも飲み干してしまった。言葉がなくなり、もくもくと食べてしまう。そのくらい夢中になる一皿だ。 「酢豚フルーティーソース風味」は、とても鮮やかな赤い色をしている。トマトケチャップの赤とは違う澄んだ赤色だ。マダムに伺うと「ザクロと黒酢を使っている」との事だ。季節や日により材料は変わるらしい。色が綺麗なのは赤酢を使っているかと思ったのだが、黒酢だった。酸味も甘みも自分好みでとても美味しい。 「車海老の香り蒸し(2尾)」は、半分に割られた海老に刻んだ葱や香草をたっぷり乗せて蒸してある。美味しいのだが、私にはやや塩気が強いように感じられた。これは残ったスープに白飯を入れてリゾット風にして残さず頂いた。 「本日の炒飯」は、叉焼と卵と葱の炒飯だ。叉焼の味が良く、卵はふわっとしていて美味しい。 「ねぎラーメン」は透明なスープに細かく刻んだ高等葱がたっぷりと入っている。あっさりしていて、お茶漬けのようなラーメンだ。お腹がいっぱいでも〆には普通に入ってしまうような軽さがある。 結構お腹がいっぱいになったのだが、やはり最後はデザートで締めたい。デザートは別メニューで見せてもらった。ライチゼリーやマンゴーゼリーも気になったのだが、ここは定番の「杏仁ゼリー」と「胡麻団子」にした。 「杏仁ゼリー」は型抜きされていて可愛らしい。ザクロソースがかかっており、甘酸っぱく、杏仁ゼリーと良く合い、美味しい。軟らかさも良かった。 「胡麻団子」は、スープに入った団子で、普段良く見る「胡麻をまぶして揚げた団子」ではなかった。どこかで見た記憶があると考えていたら思い出した。『メゾン・ド・ウメモト上海』の護摩団子もこれだったのだ。師弟関係にあったのだから不思議ではない。白い団子を割ると、中には黒い胡麻餡が入っている。胡麻がたっぷりで甘みもちょうど良く、美味しい。 お会計の時に想像していたよりも安かったので驚いた。あんなに美味しく、お腹いっぱい食べたにも関わらずこの値段で良いの?と言う感じすらするくらいだ。ちょっと威圧感のあるマダムだが、とても親切で気配りがすごい。何よりも、料理が美味しいのが一番で、それが気軽に行ける値段ならば文句のつけようはあるまい。アニバーサリーには向かないかもしれないが、使い勝手の良い店になるだろう。 秋に「上海蟹味噌の炒飯」を是非、食べに来たいものだ。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 07月 24日
食べ歩きを始めて、それなりのイタリアンのお店は初めてなので、行く前から気分が高揚していた。青山の道なりにお店はあり、とてもわかりやすい。近くに洋菓子で有名な『WEST青山店』があった。
やや急な階段を下りながら、お互いに「気をつけて」と話していると、下りたと同時にドアが開いた。話し声が聞こえたのだろうが、きちんと客を迎える姿勢が心地良い。サービスに期待できそうだ。 客席はカウンター8席を含めて約50席といったところだろうか。フロアはL字型のようでほぼ真ん中近くのテーブルに案内された。照明は落ち着く感じに落とされている。テーブル花もカウンター席に飾ってある花も緑色で統一されている。 カンパリオレンジを飲みながら料理を待つ。夜はお任せの1コースだけなのだが、追加で「冷たいキャビアのパスタ」がある。追加を頼むとコースの中に組み込むことが説明された。 ストゥッツィキーノは、とうもろこしのクリームとトマトのピュレが2層になり、生海胆が乗せてあるグラスだ。とうもろこしの甘みも生海胆の甘みもとても上質で美味しい。下のトマトも濃厚で凝縮された旨みがある。これからの料理も期待できそうだ。 次に「冷たいキャビアのパスタ」が供される。これでもかというくらいキャビアがどっさり乗っている。パスタに対してのキャビアの量が多いため、やや塩辛く感じないこともないが、とても美味しい。茹でる技術が良いのだろうと思われる歯ごたえは見事だ。もちろん、パスタの質も良いのだろう。 前菜の一品目は「尾長鯛を赤ピーマンのムースで巻いた一品」で、黄ピーマンのソース、トマトが添えてあるエストラゴン風味のものだ。これも野菜の味が生きていて美味しい。 前菜の二品目は「イカ墨のフリット」で、ズッキーニのみじん切りが敷いてある。見た目はジャガイモを真っ黒に焦がしたものだが、ナイフを入れるとさくっと切れ、中のイカの粗みじん切りの団子が出てくる。イカの柔らかさがちょうど良く、甘みもあり、美味しい。 パスタは「穴子の燻製とクレソンのパスタ トマト風味」だ。穴子の燻製の香りがとても良い。聞けば一分しか燻製していないとのことなのだが、信じられないくらいの香りがする。穴子の風味が良く、クレソンはしゃきしゃきした歯ごたえがある逸品だ。パスタはきしめんのような平たいパスタを使っている。 魚料理は「イサキとロメインレタスのクリーム蒸し ライムの香り」だ。イサキは皮が驚くほどかりっと焼かれているが、ジューシーで身は柔らかい。レタスの甘みと歯ざわりが良く、ライムの香りが効いていて美味しい。 肉料理は、説明の時に「小鳩」と言われたのだが、苦手と伝えると「黒豚とゼロール茸のソテー」に変更してくれた。ミディアムレア程度に焼かれた黒豚となめこに似たゼロール茸はまずくはないのだが凡庸な味だった。 ドルチェの前の口直しは「杏・黒蜜・塩気のあるメレンゲ・新生姜のコンフィ」で、和か中華のデザートのようだ。しかし、口直しにはちょうど良く、美味しい。 ドルチェは「チョコレートムースとレモンシャーベット」だ。溶けるといけないと思い先に食べたレモンシャーベットは、8つのスパイス入りでサフランで色付けされている。チョコレートムースは中にイタリアのリキュールのクリームが入っている。このチョコレートムースとレモンシャーベットは一緒に食べた方がお互いをより引き立てて美味しいのに気づいたのは、レモンシャーベットの最後の一口だったのが残念だった。連れがチョコレートムースをくれるというのでそれも頂いた。 コーヒーに小菓子がつくのに驚いた。フレンチだけでなくイタリアンにもこういうのがあるようだ。「グレープフルーツのマシュマロ」「苺のゼリー」「イタリア地方のカスタードクリーム入りパイ」「アイリッシュウイスキー入りチョコレート」「揚げシューとモカクリーム」はどれも万遍なく美味しかった。 コーヒーは最近食べたレストランで頂いたコーヒーの中では美味しいと思う。このところ美味しいコーヒーがなかったので嬉しかった。 この日は客が少なかったせいだけでなく、サービスは不自由することなく満足のいくものだった。ギャルソン兼ソムリエの男性とギャルソンヌの二人がサービスを担当しているようだ。一皿食べ終わるとイタリア語で厨房に知らせていたようで、出される皿は暖かく気配りが嬉しかった。パンはパン皿がなくテーブルに直置きだったが気にならないくらいだった。 料理も美味しく、値段もそこそこでサービスも良い。デートにも最適なお店だとお勧めできる。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 07月 24日
モダンな外観で、お店に入るとすぐにウェイティングバーがある。細長く席が並んでいてL字型のフロアになっている。すでに数名のグループがいて話し声が響いている。フレンチと違い、あまりマナーに煩くないようだ。
食前酒にシャンパンを頼む。メニューはなく、シェフ自らの説明がある。基本のものとプラスいくらという幾つかのメニューから選ぶようになっている。私たちは二組目の客なのに、すでに一皿分しか材料がないものもあり、別々のものを頼まざるを得ないものもあった。 「フォアグラと蜂蜜のアイス」はソテーしたフォアグラと冷たいアイスがスプーンに乗せてあり、一口で食べる。熱いフォアグラと冷たいアイスの温度差を狙った一品だそうだ。フォアグラは一口でなく、もっと食べたいと思った。甘いものと合わせるとより美味しさが引き立つのだが、アイスクリームとの組み合わせは初めてで斬新だった。 「サザエの壺焼き」は小さいサザエで、エスカルゴの料理のように大蒜バターで味付けしてあり、とても美味しい。 「鮎のフリット」は、調理前に、生きたままボールの中で泳いでいる稚鮎をテーブルまで運んで見せてくれた。給仕をしているマダム(シェフのお母さん)が、調理の様子を話してくれた。レモンをかけて丸ごと食べる。イタリア産白ワイン「CapoMartino」ととても合い、美味しい。 「鱧のカルパッチョ」は骨切りがきちんとされていて、食べやすい。しかしながらインパクトがなく凡庸だ。連れが頼んだ「鳥貝のガスパッチョ」は鳥貝をミディアムレアくらいに火を通してあり、甘みもあり柔らかく美味しい。ガスパッチョはやや辛めの味付けだが、それがまた鳥貝の味を引き立てていた。 「海胆のパスタ」は麺が美味しい。やはりこういうお店だと麺の質も茹で方も全然違うのだなと感じた。海胆はできれば火を通さないくらいの方が美味しいように思った。 麺があまりにも美味しかったので、追加はできないかと尋ねると大丈夫との事。追加した「トマトのパスタ」は麺が一皿分しかないとのことで、連れとシェアした。自家製卵麺なので数に限りがあるそうだ。トマトが縮れた麺にほどよく絡まり美味しい。ハーフでなく一皿食べたかったくらいだ。 まだ物足りず、「ニョッキはないのですか?」と尋ねたら、これもOKということで追加した。「ミルク鳩のニョッキ カレー風味」は山形のミルク鳩を使用。連れも私も鳩は苦手なのだけれども、このミルク鳩は臭みもなく美味しい。マトンとラムの違いのようなものだろうか。まだ羽の生えていない産毛の鳩を使うそうだ。 イタリア産のジャガイモを使ったニョッキは驚くほど滑らかで舌触りが良く、口の中でとろけるような味わいだ。今までのニョッキの認識が明らかに変わった。これも連れとシェアなのが残念。お互いに一皿ずつ食べたかったねと話した。材料があり、シェフが気の向いた時にしかニョッキは作らないそうだ。私たちはとても幸運でした。 メインは「イベリコ豚のソテー」で、イベリコ豚の上にベーコンとチーズが乗せて焼いてある。ミディアムくらいの焼き加減で豚の身がピンク色をしている。ベーコンとチーズを合わせて食べると美味しい。 マダムに「まだお腹に入りますか?」と聞かれ、「はい。」と答えると「鰯とウイキョウのパスタ」が供された。鰯はオリーブオイルとの相性がとても良い。ウイキョウがしゃきしゃきしていて楽しい。これもハーフサイズでしたが、さすがに沢山食べた後なので、ちょうど良い量でした。 「レモンのグラニテ」は口の中をさっぱりさせる一品だ。甘過ぎず、酸っぱ過ぎず量も適量で美味しく頂いた。 ドルチェは「宮崎産マンゴーのパンナコッタ」と「ティラミス」をチョイスした。「宮崎産マンゴーのパンナコッタ」はお薦めだけあった、とても美味しい。 柔らかめのパンナコッタの上にこれでもかというくらいの大きさのマンゴーが乗っていて、マンゴーのアイスが添えられている。上品な味から質の良さが伺える。素材を吟味し、こだわっているのがとても良くわかる。このパンナコッタを食べた後では「ティラミス」が凡庸な味に思えてしまい、残念だった。 食後は連れは「エスプレッソ」で、私は「コーヒー」を頼んだ。コーヒー豆の良い香りがしてくる。入り口のウェイティングバーで淹れているようだ。普通のコーヒーでもかなり濃く苦い。暖めて泡立てたミルクが供されたので、それをたっぷり入れると美味しくなった。 これで終わりだと思っていたら小菓子として「焼き立てのフィナンシェ」が出された。焼き立ては嬉しいのだけど、味は凡庸だった。 グループ客が煩いのを除けば、店内も綺麗で、とてもリラックスできる快適なお店だと思う。何よりも、チョイスを間違えなければ、かなり上質の料理を味わえることは間違いない。マダムのお話も楽しいし、気配りも行き届いていた。急に辞めたスタッフがいるため、人手が足りず、予約を制限しているそうだ。料理が出てくるのが遅く、時間がかかると聞いて覚悟していたが、そんなこともなかったのは、予約制限していたからだろう。 今度は「南瓜のニョッキ」か「栗のニョッキ」がぜひ食べたいと思う。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 07月 19日
浅草の国際通りに面した「浅草 今半」にすき焼きを食べに行く事にした。当日、電話すると「お二階のお座敷でしたら空いております。お二階は8千円からでございますが、よろしいでしょうか?」と聞かれた。
すでにすき焼きを食べる気になっていたので予約した。お店はとてもわかりやすい場所にある。予約を入れていたので、すぐに席に案内された。一階はかなり混んでいて、小一時間の待ちだったようだ。 二階の座敷はテーブルが3列に並べてあり、2:1に分かれていて、間が通路となっている。1列の方に座れたので、気楽に食事ができそうだ。 「特選銘柄牛 すき焼御膳」を注文し、生ビールで喉を潤しながら待つ。突き出しは「牛すき焼佃煮」が出される。味が染みていて、牛肉の旨味が凝縮されているようで美味しい。 御膳には「先付け」と「前菜五点」が付く。「先付け」は養老豆腐という山芋を固めたものに、ジュンサイと出汁のゼリーがかかっている。山芋の量が少ないのが不満だが、夏向きの一品だ。 「前菜五点」は、ベビーコーン・鱧寿司・じゃことピーマンの炒め・枝豆の茶巾・フルーツトマトの甘煮の5品だ。枝豆の茶巾には金箔が飾られていて、白隠元を甘くした上生菓子のようだ。 フルーツトマトの甘煮は鬼灯の朱色の萼に入っていて、本物の鬼灯の実かと間違えたくらい、そっくりだった。フルーツトマトの皮を剥いて甘煮にしてあった。 「すき焼」は、春菊・白菜・椎茸・玉葱・長葱・丁子麩・しらたき・特選銘柄牛だ。最初だけ仲居さんが作ってくれる。ここは割り下を使い、煮るのではなく、焼く事にこだわりがあるそうだ。汁は少なめにして、焦がさないように割り下を加える。濃くなったら水をさす。そうして、肉や野菜等を料理しながら食べる。 丁子麩は味を染み込ませてからの方が美味しいので最後にとアドバイスされた。お肉を半分くらい食べてから、他のランクのものとも食べ比べしたくなり、「極上霜降り牛肉」と「霜降り牛肉」も1人前ずつ追加注文した。 見た目だけでも違いはわかる。サシの入り方やサシの形状が違うのだ。一番美味しいのは、やはり特選銘柄牛肉でサシが滑らかな流線型に入っていた。卵も追加しないと足りなくなった。卵一個で肉一人前を食べるのに丁度良い量のようだ。 ほぼ食べ終わる頃、御飯を頼むと、お櫃に入った御飯と味噌汁・漬物が運ばれてきた。やはり、最初だけ仲居さんが御飯をよそおってくれた。お行儀は悪いが、残った卵汁を御飯にかけて食べた。これが美味しい。 デザートは付いてなく、時間も驚くほど早かったので、食後は『梅園 本店』で甘味を食べる事にして、店を出た。 奉仕料が10%で4,170円ついていたのには驚いた。つきっきりでなくても、高い奉仕料が取られるようだ。お土産にティッシュや手ぬぐい等を頂いた。お土産はいらないから奉仕料を下げて欲しいと思った。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 07月 10日
二度目の訪問なので、坂道の多い神楽坂をほぼ迷わずにお店に辿り着いた。少し時間が早く、暖簾もまだ掛かっていなかったが、私達に気づくと「どうぞ」と招き入れてくれた。前回と反対の端の席に案内された。本日はカウンター席に9人座る用意がされている。前回は8人だったので、席間が少し狭く感じた。
エビスビールを飲みながら、料理を待つ。この店は料理が出てくるのが遅いのは経験済みだったので、心得て待つことができる。 「先付け」は、帆立・海老・アスパラ・帆立の子が蚕豆のピュレの上に乗せられている。それに透明なトマトのゼリーが掛けられる。素材そのものの味が生きていて、爽やかなトマトのゼリーがドレッシング代わりとなり、全体をまとめて、初夏を感じる一品となっている。美味しい。 「八寸」は、(手長海老・オクラ・茄子・生雲丹)(蛸の柔らか煮)(稚鮎の南蛮漬け・筍)(頬月の器に入ったサツマイモの甘煮)(松露・枝豆)(帆立と海老のすり身にコーンの粒を混ぜ、畳鰯で挟んで揚げたもの)(鱧寿司・筆生姜)が細長い長方形の器に彩り良く盛られている。どれも美味しいのだけれども、(蛸の柔らか煮)と(鱧寿司)は先週『京味』で頂いたものの方が数段美味しかった。 「お椀」は、牡丹鱧・結び蓮芋・柚子だ。半匹は使っているかと思われるくらいの牡丹鱧はふっくらとしていて、秋ほどではないが脂も乗っており、とても美味しい!柚子はグレープフルーツの種くらいの小さい可愛らしい物を半分に切られ、牡丹鱧の上にちょこんと鎮座していた。お出汁も溜息が思わず出るくらいに美味しい! 「お造り」は、真高鮑とその肝だ。肝はお醤油で溶いて、刺身につけて食べても良いし、そのまま食べても美味しいと言われた。鮑は薄く切られているのだが、端が固い。身は甘みがほのかにあって美味しい。身には添えられている柚子を絞っても美味しいそうだ。肝は周りが綺麗な緑をしている。刺身よりも、この肝がとても美味しかった!できるなら、身はいらないから肝だけ欲しいと思ったくらいだ。 「焼き鱧」は、高等葱と唐辛子の入った大根下ろしのタレで頂く。熱々の焼き鱧をタレにつけるとすっかり冷めてしまうのが、美味しいだけに残念だった。 「湯引き鱧」は、花紫蘇・紅蓼などと一緒に大根下ろしのタレで頂く。湯引き鱧の中はレアで美味しいのだが、タレが「焼き鱧」と重なっているのが残念だった。ここは酢味噌で出して欲しかった。 「松茸の鱧巻き揚げ」は雲南省の松茸を使っているそうだ。柚子を絞って食べるのだが、ほんの少し塩が欲しかった。 「南高梅の蜜煮」は梅酒に漬けた梅を蜜で煮てあるように感じた。蜜は爽やかな甘みが美味しかった。 「鱧の刺身」は、山葵・塩・梅肉が添えられていて、好みで食べるように言われた。骨が全く感じられず、驚いた。山葵と塩で頂くのが美味しかった。「鱧づくし」ならではの一品でしょう。 「炊き合わせ」は、加茂茄子・万願寺唐辛子・生雲丹で、下ろし生姜が添えられ、餡が掛かっている。利尻産の生雲丹がどっさり乗せられてあり、とても美味しい!スプーンで残さずに頂く。 「ジュンサイ」は兵庫県三田産の新鮮なものだそうで、身がしゃっきっとしていて歯ごたえが良く、美味しい。他では味わったことがないくらい上質なものだということがわかる。 「鱧ご飯」は、白胡麻と薄切り蓮根が入っていて、お茶碗によそおってから大葉の千切りを乗せる。大葉の爽やかな香りが食欲を誘う。お代わりでオコゲも頂いた。味噌汁の具は茗荷の千切りのように思った。加茂茄子や生姜のたまり漬けなどの漬物も出される。 「水菓子」はさくらんぼとマンゴー。甘い味と美味しさで上等なものだと言うことがわかる品だ。 今回、とても気になったのは、女将さんのつけているフレグランスと、小室さんの弟子に対する言動・素材の自慢話があった。 客の私ですら、食事の邪魔になるフレグランスは遠慮しているのに、サービスする側の女将さんが、皿をテーブルに運ぶ時に香るようなフレグランスをつけるのはいかがなものかと…。 また、何を失敗したのかはわからないのだが、小室さんが弟子の頭を三度叩いて叱責しているのを目撃してしまった。教育方針もあるのだろうが、客から見える厨房ですべき行為ではないと思う。連れは、その後で足も蹴っている場面も目撃したそうだ。 もう一つは、素材自慢。どこのご主人も多少なりは自分が吟味した素材の自慢をすることがあるし、確かに小室さんの吟味している素材はとても素晴らしいと思う。しかしながら、「○○はキロ何万」とか「東京でこれを使っているお店は10軒くらいしかない」とか、多くの食材に対して自慢されていたのだが、あそこまで自慢話をする料理人は初めてだ。何度も金額を口にするのは上品でないと感じた。 前回、「客に旨いものを食べさせたい」と言う気持ちの強い料理人だと感じていただけに、今回はとても残念でした。5ヶ月で変わってしまったのだろうか。連れは半年間で4回目の訪問だったのだが、小室さんは覚えていなかったようで不思議だった。当然、2回目の私など覚えていなくて当然のようで、前回と同じ質問をされた。 帰り際、かなりの距離があるにも関わらず、角を曲がるまでずっと女将さんは玄関で見送ってくれていた。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 07月 09日
久々のフレンチにウキウキして出かけた。ただの洋食屋をフレンチと言う人もいるようだが、私は理解できない。やはり、サービスはもちろんのこと、内装や調度品、出てくる料理の構成・内容など、いろんな事にフレンチのフレンチたるものがなければフレンチとは呼べないからだ。
本日訪れた「シェ・イノ」は当然ながらフレンチと呼ぶに相応しいお店だ。それだけでなく、フレンチの老舗でもある。ビルの一階にあるのだが、看板等がみつからず、素通りしてしまいそうになった。入り口の横の小さいウィンドーにメニューが飾ってあり、思わず覗き込んでしまった。「マリア・カラス」の文字を見つけ、改めてよく見ると「Chez Inno」と書いてある。安心して、ドアを開いて入った。 予約の名前を告げると、壁際で中央辺りの良い席に案内された。天井が高いことに驚いた。天井が高いと開放感や高級感があるのだが、諸事情により、なかなか難しいのはわかる。が、やはり天井が高いと落ち着くので嬉しい。その天井には、シンプルなシャンデリアがあり、色取り取りのランプで模様が成されている。シェフが修行してきた店のマークだと連れが教えてくれた。飾りのステンドグラスに合わせた彩なのかもしれないが、青・緑・黄・オレンジなどの派手な色使いよりはシンプルにした方が上品だと思った。 フロアは広く、席間も狭くはなく、ゆっくり食事ができそうだ。まずは食前酒にペリーニを頼んだ。生の桃が使われているだろうと期待して頼んだのだが…少し金属の味がしたので、おそらく缶詰の桃が使用されているのだろう。残念。 女性用の値段の書いていないメニューを眺め、連れと相談する。「仔羊のパイ包み焼き マリア・カラス」は絶対に食べたいと思っていたので、それをメインにしつつ、メニューを構成する。ギャルソンに相談したら、前菜とメインで十分で、もし加えるとしたら魚料理をシェアしても良いでしょうとアドバイスされた。 アミューズ・ブーシュは「カリフラワーのムース」だ。カリフラワーの味がしっかり出ていて、とても滑らかな舌触りのムースで美味しい。 前菜は「オマール海老のカブ包み」は色彩が綺麗だ。トマトの赤、アボガドの緑、パプリカのオレンジや黄色、蕪は白と赤の2色が使われている。グレープフルーツを使った酸味のあるソースが海老の甘みを一層引き立てていて、とても美味しい。 魚料理はシェアした「ブイヤベース」だ。半量でも、見た目よりはお腹に溜まった。白身・帆立・オマール海老などの具を魚介類のベースのスープで頂く。アイオリソースを付けると一層美味しくなった。まろやかでいて、しつこくなく、コクはある。美味しい。 メインは「仔羊のパイ包み焼き マリア・カラス」だ。写真で何度も見ていたが、そのままだ。古き良き時代のフレンチを彷彿させる、どっしりした料理だ。パイの中に、フォアグラとトリュフを巻いた羊肉が入っている。ソースはトリュフが使われている濃厚なものだ。前の2品もソースがとても美味しかったのだが、これが私の一番好きな味だ。マデラ酒なのか、バルサミコ酢なのか、わからないのだが、酸味のあるコクのある濃いソースがとても美味しい。残ったソースはパンにつけて残らず頂いた。 欲を言えば、一皿一皿の量が多くあれこれ食べられないのが残念だ。しかし、どの料理も満足する美味しさだ。チーズが強制されないのも良い。チーズよりはデザートが食べたい私は、いつも胃の限界を感じつつ2~3種類くらいのチーズを頼むか、断るかになってしまっている。デザートが入らなくなるよりはチーズがない方がありがたい。 デザートは久々のワゴンサービスをお願いした。単品の「胡麻のブラマンジェ」等も気になったのだが、やはり今回は、最近少なくなってしまったワゴンサービスに決まりだ。あれこれ沢山食べたいので、どれも少しずつにしてもらった。 「無花果のタルト」「ショートケーキ」「チョコレートケーキ」「さくらんぼのタルト」「バニラアイス」「マンゴーシャーベット」「桃とハーブのシャーベット」 「桃のシャーベット」はハーブが入っていて、期待した味ではなく残念だったが、「バニラアイス」はバニラビーンズが入っていて、コクがありとても美味しい。他のケーキやタルトも、パイなどが得意なのだろうなと思える通りに、とても美味しい。 おそらく満面の笑顔であっと言う間に平らげたのを見られていたのだろう。ギャルソンに「お代わりをお持ちしましょうか?」と聞かれた。気持ちは食べたくても、胃がすでにギブアップ状態だったので、残念ながら、辞退した。 このお店ではコーヒーに小菓子は付かない。小菓子がないのなら、デザートワゴンのケーキと一緒にコーヒーが飲みたかった。コーヒーの味は私の口には合わず残念だ。 ギャルソン達は皆感じが良く、平日にも関わらず、店が早い時間から賑わっているのは良い店の証拠だろう。巷で言われているような年配の客ばかりということもなく、若い人のグループや家族連れなどもいた。ランチは女性がほとんどとは聞いたが、ディナーは普通にいろんな人がいるようだ。 シェフの井上さんも客席に出てきてはいたが、知り合いかと思われる2テーブルにだけ挨拶し話し込まれていた。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 06月 24日
この日は残念ながら、カウンターの真ん中の席でした。人数は9人といつもより、やや席の間が狭いです。すでに顔を覚えていただいているようで、前回のお話なども出ました。
ビールで喉を潤しながら料理を待ちます。 「鰻の肝・蕨の胡麻和え・鯛と茗荷の手綱寿司」が供された。鰻の肝は鰻屋さんで時々いただくけれど、味が全然違う!?上品なお味です。蕨の胡麻和えはおそらく隠し味が何か入っているようでした。鯛と茗荷の手綱寿司は、見た目は茗荷のお寿司なのだけど、茗荷の下に鯛が隠されていて、「なぜ茗荷がこんなに美味しいのだろう?」と不思議に思ってしまいました。 「冷やしとろろ」はすり流しのように滑らかで、ジュンサイとぐじが入っています。 「芋茎の煮物」は定番のようで、いつもながら優しいお味です。 「湯引き鱧」は、梅肉・酢味噌・出汁醤油の三つのタレが供されて、いろいろなお味が楽しめます。私は酢味噌が一番美味しいと思いました。 「茄子田楽の生雲丹乗せ」も以前食べたことがあります。茄子田楽だけでもとても美味しいのに、生雲丹が乗せてあるのだから、より一層美味しい一品になっています。 「鱧と蚕豆の天麩羅」はビールととても合います。鱧は薄く切って揚げてあり香ばしく、蚕豆は豆の甘みが十分引き出されています。 「お造り」は鯛・鰈・鱸の洗いの三種類です。鯛はお腹の一番美味しい部分を頂きました。他の部位よりも確かに美味しい。 「鱧と早松の鍋」も期待通りにとても美味しい。この時期に採れる松茸は山口県だけだそうです。早松というくらいだから小さい松茸を想像していたのですが、秋に採れるものと変わりなく大きいもので驚きました。お出汁もしみじみと美味しい。かぼすを絞って頂くと更に美味しくなります。口福の一時です。 「鮎の塩焼き」は静岡県藁品川産の天然鮎です。これは先週頂いた『鮎正』の鮎の方が美味しかったので残念でした。しかし、頭から尾まで綺麗に残さず頂けました。 「炊き合わせ」は蛸・鯛の子・揚げ生麩・南瓜・小芋・千石豆です。こちらも定番のようです。鯛の子も相変わらず美味しく、蛸はどうしたらこんなにも柔らかくなるのだろうと不思議に思うくらい柔らかく美味しいです。 ここで「お腹の具合はいかがですか?」と聞かれたので「まだ入ります。」と答えると、次はご飯の予定だったのに、なぜか「ぐじの煎り米蒸し」が供されました。私はご飯もデザートも入りますという意味で答えたつもりだったのですが、どうやら「物足りない」と受け取られたようでした。そんなつもりではなかったのですが…嬉しい誤解でした。 「ぐじの煎り米蒸し」は煎り米の香ばしさもさることながら、ぐじが柔らかく甘みがあり、とても美味しい。沢山食べられる胃を持っていて幸せでした。 「鱧寿司」は身がふっくらして甘く、寿司飯の加減もちょうど良く、とても美味しい。この後は定番の「ハラスご飯」です。たっぷりのほぐされたハラスとパリっと香ばしく焼かれた鮭の皮の美味しい一品です。さすがにお代わりは頂けませんでした。デザートが入らなくなると悲しいですから。 こちらも定番のデザートは「葛きり」で、変わらない美味しさです。前回、やや細く切られていたのですが、今回は元に戻って、太めに切ってあり、やはり太めに切られている方が美味しく感じました。連れの葛きりまでもらっていると「お代わりを作りますよ。」と言ってもらったのですが、さすがにもう満腹で余裕がなく遠慮しました。 いつもながら、このお店は早い時間から満席になり、私達が食事の途中で客が入れ替わることがあります。この日も入れ替わりに入ってきたカップルがありました。その客に鮎の塩焼きが供された時、お皿を戻して、骨を外してもらっていました。 私のように頭から食べるだけでなく、上品に骨を外してもらって食べるのもありなのだとこの時に知りました。自分で上手く骨を外せなければ、お店の人に頼めば上手く外してくれます。食いしん坊の私は、美味しい鮎であれば、やはり頭から全部頂きたいとは思いました。 帰り際、次回はいつが良いのでしょうかと伺うと「松茸の時期」と答えて頂きましたが、「特別な食材がなくてもいろいろと工夫して美味しいものをお出しします」とも答えて頂きました。いつも幸せな気分にさせてくれるお店なので、再訪を楽しみにしています。 この日も角を曲がるところまで、ずっとご主人の西さんが見送ってくださいました。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 06月 17日
外見からして、いかにも老舗という感じのお店で、引き戸を開けて入ると、居酒屋へ来たのかと思ってしまった。1階はカウンターと小上がりで、2階はお座敷になっている。6時半ですでに満席どころか、客が回転している。6月1日の鮎解禁日から予約殺到らしい。早めに予約をしていて良かった。
カウンターの席に案内された。隣は常連らしい一人客がいた。カウンターはかなり狭く、隣と腕が当たってしまいそうだ。連れは何度が当たっていたらしい。 まずはエビスビールで喉を潤す。お酒のメニューを頼んだが、なかなかもらえず、催促してやっと回ってきた。日本酒は島根の地酒が揃えられている。自家製の10年物の梅酒を頂く。ウイスキーのような琥珀色に熟成していた。 前菜は5品で「インゲンの胡麻和え」「カラスミ」「子持ち昆布」「筍の白和え」「鮎の南蛮漬け」だ。このあたりで、少し不安になってきた。美味しい鮎が食べられるのかしら?と。 「お椀」は焼き鮎・冬瓜・海ぶどうが入っている。出汁は美味しいのだが、焼き鮎とは合わない気がした。 「鮎の背ごし」は鮎の刺身で、珍しいが骨が気になった。私の口には合わなく残念だ。 「苦うるか」は今まで食べたどのうるかよりも美味しい!日本酒をより美味しく味わえる一品だ。 「鮎の塩焼き」は2匹で、蓼酢で頂く。蓼酢はかなり濃度が濃いようだ。これがとても美味しい!!!普段、シシャモでも頭は残してしまうのだが、連れが美味しいと食べているのを見て、私も食べてみることにした。 最初は骨を外して食べていたのだが、骨が気にならなかったので思い切って頭からガブリと食べてみた。鮎ってこんなに美味しかったの?と目から鱗だった。 ここの天然鮎は島根から取り寄せているそうだ。故郷が近いせいもあり、女将さんがちらっと話してくれた方言がとても懐かしく身近に感じた。連れがもっと食べたいと言い、コースとは別に追加することにした。 「揚げ物」はうるか味噌を鮎で巻いて揚げたもの・獅子唐・薩摩芋。うるか味噌がほんのり甘く、とても美味しい!!薩摩芋も味付けしてあるかと思うくらい、甘く美味しい。 「うるか茄子」は揚げた茄子をうるか味噌で煮付けてある。これがまた美味しい!ナスの味噌炒めに似ているが、うるかの苦味がほんのりして味が深い。食べた後の器に白飯を入れ、残ったうるか味噌も全部頂く。このご飯も美味しい! 「鮎の煮浸し」は揚げた鮎・独活だ。これはさほど美味しいとは思わなかった。 「酢の物」は昆布〆した鮎・若布・山芋・千切り生姜だ。さっぱりとしていて美味しい。 この後、追加した「鮎の塩焼き」がやっと供された。客の回転がよく、焼き場の順番があり、ずいぶん待ったが、待つ甲斐のある美味しさだ! 「鮎ご飯」は鮎の味も良いのだろうが、味付けも良いと思う。ふっくらとした粘りのあるご飯はお腹に余裕があればおかわりしたいくらいだった。『京味』のハラスご飯にひけを取らないくらい美味しい!!ご飯には味噌汁と漬物がついていた。 デザートは「青梅のカキ氷」で、青梅を甘く煮たものとシロップがカキ氷に入っている。青梅の爽やかな味とほどよい甘さが口に広がる。美味しい。 「苦うるか」が供されてから、私は口福で笑顔になっていた。入店した時に不安も吹っ飛び、ひたすら鮎の美味しさに感動していた。食べ歩きを始めてから、多少、鮎も美味しい魚だと思うようになっていたが、こんなにも美味しい魚という認識はなかった。嬉しい発見だ。 店内はレトロな雰囲気が漂っている。開店してすでに四十四年というのだから当然だろう。店内は禁煙で、愛煙家達は外に出てタバコを吸っていた。これはありがたいことだ。 私達の席は洗い場の前だったのだが、洗い物専任の女性が、帰るまでずっと皿を洗い続けていた。料理人の男性5人と女将さん・仲居さん・洗い専任の女性6人がフル稼働していた。帰る少し前には両隣の客も回転しているくらい、店は繁盛していた。多少サービスが遅くなっても仕方ないと思えるのは、偏に鮎の稀なる美味しさ故だろう。 また来年、骨ごと食べられる大きさの鮎を食べに来たいと思った。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 06月 14日
荻窪駅から歩いて数分。地図があればわかるが、横道に入って、ともすれば見落としてしまいそうな雑居ビルの二階に「北京遊膳」がある。「チューボーですよ」というTV番組の「街の巨匠」として紹介された事もある店だ。
入ってすぐが、カウンターで、その横を通るとテーブル席が4つあった。二人掛けの小さいテーブルに案内される。料理の皿が乗りきるのだろうかとちょっと心配になる大きさだ。しかし、すべてのテーブルの上に「予約済み」の札が置いてある。「要予約」を実感した。 青島ビールで喉を潤していると、程なく前菜が運ばれてきた。電話予約の時「来店してからで良いですよ。」と言われたのだが、お任せのコースを頼んでおいた。 「大根とクラゲの和え物」(千切り大根のしゃきしゃきした食感とさっぱりした味がくらげとよく合っていて美味しい!) 「チャーシュー」(程よい柔らかさと旨みがあり美味しい) 「大蜆の老酒漬け」(北海道産の大蜆が入った時しか作らないそうだ。さっと湯掻いた蜆を老酒に漬ける。この時の火の通し方が難しく、生きたままでないと老酒が浸透しないそうだ。蜆自ら老酒を吸収していくからだ。味が深い。) 紹興酒を櫛切りのレモンと一緒に追加注文した。常温の紹興酒にレモンを絞って飲む。美味しい。 「フカヒレの姿煮」は粘り気の強いスープで供された。フカヒレの処理がきちんとされていてほっとした。(処理が悪いと嫌な後味がするからだ)黒酢をもらって、少したらすと、更に一層美味しくなった。 「大正海老の揚げ物」は食べ易い大きさに切って揚げてある。塩ダレで頂く。さっぱり食べられて美味しい。 「八宝菜」は魚貝類系で、海鼠・鮑・干し貝柱・蟹・海老・烏賊・豚肉・筍などの野菜が入っている。これは珍しく茶色の餡だ。塩味でなく、醤油かオイスターソースで味付けしてあるようだ。 「大つぶ貝の北京炒め」はたっぷりの木耳と一緒に炒めた一品だ。つぶ貝の身がとても柔らかい。肝を醤油でさっと炒めたものも供された。これが、ねっとりとしていて味が深い。サザエの肝と違い、旨い苦味で酒のツマミに美味しい。 「涼麺」は山椒で味付けして炒めた牛挽肉の油を使っているそうだ。海老や韮が入っていて、塩味でさっぱりとして美味しい。 ここで、コースとは別に「蟹炒飯」を追加注文した。ネットで見た「蟹炒飯」はご飯よりも蟹の方が多くて、蟹でご飯が見えないくらいだったが、そんな事はなく、普通の「蟹炒飯」だった。しかし、パラッと仕上がっていて、飽きない美味しさがある。 デザートは赤肉系のメロンだ。熟し加減が良く、甘くて美味しい。更に、コースとは別に「杏仁豆腐」と「タピオカミルク」を追加注文した。 「杏仁豆腐」は缶詰ではなく、生の果物が乗っていたのは嬉しいのだが、肝心の杏仁豆腐が硬く味が薄いのが残念だった。「タピオカミルク」は苺がたっぷりと入っていて、ココナッツミルクも濃く、とても美味しい!追加して良かったと思える味だった。 他の予約席はどこも子供連れだった。「未就学児お断り」の張り紙があったようだが、一部ぎりぎりの年齢のように見受けられた。しかし、子供達がおとなしく食べていたのは、このお店の料理が美味しいことを知っているからだろう。地元の常連さんが多いのも納得できる。マダムも親切で気配りのサービスでもてなしてくれる。 店内は狭いし古いが居心地が良い。トイレが客席と離れているのは良いのだが、横になって歩かないと行けないくらい通路が狭いのは難点だ。お会計はテーブルでしたが、値段がリーズナブルなのに驚いた。とても良心的で美味しく、お勧めできるお店だ。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 06月 11日
以前「麻布香港ガーデン」へ友人と歩いて行った時には、そこにはなかった。今年、移転したという「分とく山」は、道路に面していて、横断歩道の近くで、色は地味だけれど、目立つ建物だ。和食店としてはモダンな造りだと思う。
敷地内に入ると、ほんのちょっとの距離なのに、別の空間へ迷い込んだような気になる。入り口が二つあり、迷っていると、ガラス越しに中から手招きされた。予約の名前を告げるとカウンターの席に案内された。男性二人と一人の二組の先客がいた。面積としては決して広くないのに、天井が高く、一面の壁が総硝子になっているのが、効果的な開放感を与えているように思う。 「お凌ぎです。」と供されたのは「翡翠茄子と雲丹の梅肉餡かけ」で、山芋・オクラ・防風などが入っている一品だ。雲丹と梅肉の組み合わせに驚いたが、これが結構いける。思わず日本酒が欲しくなる味だ。 「マナガツオの新茶焼き」は、酢で「茶」と書いた紙に包んで焼いてある。新茶の香りの良さもさることながら、粋な演出だ。 「鰻の五穀蒸し」の「五穀」は、麦・粟・稗・黒胡麻・アマランサス・もち米が入っている。鰻がふっくらしていて、お腹も落ち着いた。 「鱧の葛打ち椀」は、鱧・芯を抜いた牛蒡・冬瓜・紅葉笠。鱧の葛打ちは、とてもなめらかな舌触りだ。紅葉笠も珍しく、若芽だけが食用になる。 「お造り」は、鰹・鰈・生湯葉・島田海苔・ウルイ・山葵の葉を高等ねぎの入ったポン酢で頂く。さっぱりしていて美味しい。 「鮑の磯焼き」は、新宿高島屋の「分とく山」で食べたものの方が、肝の旨みが出ていて美味しかったのは残念だった。こちらの店の方が一段味は上だという情報があったので期待していたせいだけではなく、肝の旨みが出ていなかったのは否めない。 「組み肴」は「赤貝とジュンサイ 胡瓜酢」「もずく豆腐の黄身酢」「メロン イクラ 下ろし生姜」「ベビーコーンの雲丹焼き」「筆生姜の海老巻き揚げ 抹茶塩」「穴子と胡瓜の胡麻和え」「蕗の信田巻き」だ。少量ずつ、いろんなものが食べられるのが好きな私には嬉しい一皿だ。 「伊勢海老の萬餡かけ」は、伊勢海老の半身に、山芋・胡瓜・タピオカの餡がかかっている。マスタードリーフのぴりっとした味が効いている。 この後はお食事で「しらすと新茶のご飯」と「漬物(胡瓜・人参・山芋・キャベツ)」と「味噌汁(豆腐とみず(山菜))」だ。土鍋で炊き上げるご飯をとても楽しみにしていたのだが、しらすの量が多過ぎて、新茶の味も香りもしないし、しょっぱかったのがとても残念だ。一杯だけ頂き、残りはおにぎりでお土産にしてもらった。 デザートの蕨餅は珍しい球の形に仕上げてあった。黒蜜と黄粉がつけられている。この蕨餅には、蕨の茎の部分を裏漉して入れてあるのが特徴だ。料理に使わない部分がもったいないのでそうしているそうだ。 時間にして一時間半。次から次へと間を置かずに料理が供された和食は初めてだ。少量ずつなので飽きる事はない。味も優しい感じなので、口に合わなかったものもなかった。しかし、もう一度食べてみたいと思ったのは「お凌ぎ」だけだったのが残念だ。 内装は女性受けするモダンで開放的だし、スタッフもきびきびした動きで感じが良く、気持ち良いサービスが受けられる。 ご主人の野崎洋光氏はお忙しそうで、見送りはフロアスタッフと料理人の二人がしてくれた。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 06月 11日
四谷駅から歩いて5分。地図がないとわかりにくいのだが、そばに学校があるので目印となり、なんとか店に電話しなくて済んだ。しかし、青い看板は見つけても、入り口がわかりづらい。マンションの駐車場の奥まで進むと、また青い看板があり、ほっとした。
玄関前は、和食のしゃれた店かと思わされるような造りになっているのだが、肝心の玄関は古い引き戸で「自動ではありません」と張り紙が貼ってある。40年前の実家を思い出させるような古い引き戸だ。中に入り、予約の名を告げると案内される。靴を脱いで、スリッパに履き替える。まるで、どこかのお宅に訪問してきたような錯覚を覚える。 厨房の横を通り抜けて、廊下を進むとダイニングがあった。一番窓際の席に案内された。猫の額ほどの庭には手水鉢があり、植木鉢がいくつか紐で縛ったまま置いてあるだけだ。見せるための庭でないのは確かだ。 電話で予約した時に1万2千円のコースを頼んであったので、飲み物を頼もうとしたら「前菜が来ますから。」と窘められた?ここは飲み物のメニューもない。口頭で説明されるようだが、値段までは言わないので、確認した方が良いということは会計の時に思った。 前菜が来た。 「胡瓜の辛子炒め」(これはどこかの中華店で食べた記憶がある) 「細切り干し豆腐の炒め」(かなり細く麺のように切った干し豆腐の炒めもの) 「蚕豆の腐乳和え」(蚕豆を腐乳で和えてある) 「豚の耳と舌の漢方煮込み」(耳は沖縄料理のような硬さはなく、とても柔らかいのに驚いた) 「三色卵」(ピータンと塩卵と鶏卵の三種類の卵を固めてある。美味しい) 「鶏肉・ラッキョウ・えびこの炒め」(お酒の肴に良い濃い味付け) 一つの皿に盛ってあり、パクチーが散らしてある。 ビールは青島ビールしか置いていない。追加注文をするために厨房まで歩いて行く。勝手に取っても良いのなら楽だが、常連ではないので、それはできず、毎回、歩いて行かねばならないのは不便だ。常連さん達は勝手に冷蔵ケースから取り出していた。 「湯葉巻揚げ」は中に海老・椎茸・筍・鮑が入っている。具に味付けをしてあるので、そのまま食べる。揚げたてで熱いが、ビールとよく合う。 「蠍の姿揚げ」は蠍がそのままの姿で出てくる。思っていたよりも硬くない。太さは小指で、長さは親指くらいの大きさのため、柔らかいのかもしれない。やや苦味はあるものの、特に変わった味ではない。敷いてある胡瓜と一緒に食べると苦味も和らぐ。 「ササミとマコモ茸とアスペルジュ ソバージュとパクチーの炒め」。アスペルジュ ソバージュはフレンチで使われたりするそうだが、初めて見た。3千年前の中国にこの野菜はあったのだろうか?と不思議に思った。 「フカヒレの姿煮」はやや濃い味付け。フカヒレの嫌な後味が残っていたのが、私の口に合わず、とても残念だ。 「トマトカップのスープ煮(?)」は、トマトの中を繰り抜いて器にして、その中に無花果を入れ、大葉を被せ、海老を乗せて、丸ごとスープで煮てある。かなり辛い味付けだ。 「マナガツオの揚げ物」は、14種類の漢方を6ヶ月寝かせたタレに漬けたもの。酢を使っていて、美味しい。 「大正海老のチリソース」はケチャップを使っていない。赤い色は海老の味噌の色だそうだ。かなり辛い。殻ごと食べるように言われたが、硬すぎて無理だった。 「水餃子」も味付けけがされていて、タレがない。 「混ぜご飯」はチャーシュー・メンマ・ザーサイなどを炒めたものをご飯に混ぜてある。ご主人が「炒飯は残飯で、客に出すのは無礼だ。」と何度も言っていたのが、気になった。私は『龍天門』の卵炒飯も『龍圓』のスープ炒飯も大好きなのだけど… デザートは「干し杏とアロエのシロップかけ(?)」。砂糖は使わないそうなのだが、甘いシロップのような液体がかかっていた。アロエは意外と美味しかった。 3人だけで厨房もサービスもやっているので、とても忙しそうだ。サービスが行き届かないのも無理はないと思った。食事中、二階の足音がかなり大きく響き気になった。「医食同源」で、健康的な食事をする場のはずなのに、各テーブルには大きな灰皿が置いてあり、隣の客は白く煙るほど、喫煙していた。換気がされていないようで困った。 毎日、食べられれば、健康になるかもしれないという食後感はあった。量が多くないことも関係しているのだろうが、腹八分という満足感はあった。ただ、貴重な料理なのかもしれないが、使っている食材や味の質などを考えると料金が高いと思う。同伴客はいたが、デートにはお勧めできない。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 06月 05日
阪急交通社ビルの地下にあるので、場所はわかりやすいです。地下に下りると、極庶民的なお店ばかりなので、本当に、ここに日本一高いと巷で噂のステーキ店があるのかと疑問に思ってしまうくらいです。トイレも店外の共通のものを使うことになります。
入り口は少しわかりづらいです。クラブ?かとも思えるドアを入ると、店の造りにより、入ってすぐには客席が全く見えません。店の内装はレトロで、照明は暗くないはずなのに、なぜか仄暗い感じを受けてしまいました。 予約の名前を告げると、いくつかある席から選ばせてもらえました。この日は男性二人の一組とカップルが4組、若者のグループが一組で満席でした。同伴が今回はいなかったようですが、不釣合いなカップルがほとんどのようでした。 シャンパンカクテルを頼もうとしたら、小さいボトルを開けないといけないと言われ、カンパリオレンジにしました。シャンパンはグラスではないそうです。 「北海道留萌産の毛蟹の姿蒸し」が最初に出てきました。二人で一匹です。殻に包丁は入れてあるけれど、自分で身を出して食べるのは、なかなか困難でした。確かに身も美味しいし、味噌も甘かったですが、季節は?と不思議でした。 フィンガーボールもありましたが、浅いボウルで指の第一関節ですら浸せないくらいのものというのは、とても不親切だと思います。 次に「房総産真穴子の炭火焼き」が出されました。白焼きで塩胡椒してあります。山葵と大葉下ろしが添えられています。ふっくらとして美味しいのですが、胡椒は必要ないような気がしました。 サラダは「クレソン・鮑・スルメイカ・海老」で公爵サラダと名づけられているそうです。鮑はどこにいるのか探すくらい少量で、キャビアもほんの少し乗せてありました。海老は甘みがあり、とても美味しいものでした。前回の海老のサラダも美味しかった記憶があります。 パンは客の入店時刻に合わせて焼いていると聞いていました。暖かいものが供されます。酵母の独特の香りが強く、料理によっては合わないものもあります。 ステーキはミディアムレアレアくらいの焼き方で、釜で15分くらい焼いたそうです。肉によって焼き時間等は変えるとのことでした。一口目を口に入れた時はほっとしました。前回と違って、美味しいと感じたからです。が、三口も食べると悲しくなってきました。 赤身の美味しさがわからないのだろうと思っていて、やはり肉は脂がないとだめだと感じていたのですが…脂の塊は私の口には合わないようです。霜降り肉だと、思わず笑顔になるくらい美味しいと感じることができるのですが、脂身は苦手です。人差し指程度の大きさの脂の塊が厚いステーキ肉の真ん中辺りに陣取っていました。とても残念です。 ステーキにはベイクドポテト・人参・鞘インゲンが添えられていました。 デザートは枇杷が3つ。皮付きのまま供されました。一応、デザートナイフとフォークは用意されていますが、使えませんでした。枇杷の3つの内、甘いのは一つだけで残念でした。すべてにおいて質の良いものを提供されているはずなのですが?… 最後にコーヒーを頂きました。不味くもなければ旨くもないお味です。 白ワインはグラスで一杯4,000円。赤ワインはハーフボトルで8,000円。それよりも高いワインがほとんどです。私はワインもよくわからないのですが、もったいないと感じました。ワインを注文する時はくれぐれも財布と相談が必要だと思います。 昨年はグラスワインが一杯1,200円で頂いたのですが、今回はこんなにも高いワインを出されるとは思ってもいませんでした。 前回もお肉が美味しいと感じられず不満足で店を後にしました。が、今回は前回を上回りました。前菜は前回の「自家製スモークサーモン」と「鮑の酒蒸し」の方がよっぽど美味しかったですから…。スモークサーモンはそれまで食べたことがないくらい旨みがありましたし、鮑は肉厚なのにとても柔らかく甘みがありました。 お値段の割りにお店の内装は安っぽいと思います。サービススタッフが一人で、厨房から手伝いに出てきていました。こちらが手を挙げても、なかなか来てもらえない事もあり、接客は悪くはないのですが、対応が悪いです。 あれだけの対価を払うのなら、この店の近くの「京味」に行く方が良いと思いました。 KEI ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 05月 22日
一方通行の多い場所にあるので、初めて訪問する人には、ちょっとわかりにくいお店かもしれません。
ビルの一階にあり、まだ新しいようで、とても綺麗です。店内はすっきりしていて、モダンな和食店という感じです。棚には当日使用される食器が並べてありました。ワインクーラーにはまだ時期の早い桔梗が飾られていました。 情報によると、ご主人の神田さん以外はすべて女性スタッフだということでしたが、神田さん以外にイケメンの男性スタッフが二人いました。女性スタッフは4人いるそうですが、ほとんど厨房に篭っていて、たまに白衣を着た女性が一人だけ客の前に現れていました。カウンター8席の他に個室もありました。 梅酒を頼むと2種類あって、搾り立ての新しいのを勧められ、それをお願いしました。梅の実の裏ごしのようなものが入っていて、梅をより感じて美味しいお酒です。 「芋茎の海苔和え」は海苔がコクを出していて、隠し味の山葵が絶妙です。 「鰹のお造り」は辛子醤油で頂ました。赤身の魚は辛子醤油を出すそうです。八丈島とかでは山葵の代わりに辛子で食べると連れに教えてもらいました。さっと火を通してあるコゴミも季節を感じさせます。 「蓮根餅のお椀」は、揚げた蓮根餅・スナックエンドウ・海老・椎茸が入ったお椀です。蓮根餅の味から考えるとお出汁がかなり薄く弱いので残念でした。 「小鯵の南蛮漬け」は小指の第二関節程度の小さい鯵の南蛮漬けです。 「穴子寿司」は目の前の七輪で焼いた一匹の穴子を半分に切り、中の寿司飯が見えなくなるくらいの大きさで包んであります。山葵と塩で食べました。柔らかく、甘みがあり、また食べたいと思えるくらい、とても美味しい一品です。 「太刀魚の塩焼き・唐揚げ 花ズッキーニの天麩羅」はカンズリ(唐辛子のペースト)で頂きます。花ズッキーニはカレー味になっていました。 「鱧しゃぶ」は車麩・豆腐・茄子が鍋に入っていて、別皿に水菜と鱧が供され、自分達で給仕しました。(他の客はすべてスタッフにより供されていましたが…)出汁を取り皿に取っていたら、「出汁はそれだけなので…」と注意されました。 最初に「肉と鼈と鱧から選んで下さい。」と言われ、鱧を選んだのですが、口に合わず、鱧を選んだのは失敗だったかもしれません。 「鱧の卵とじ ご飯」は卵がとてもふんわりと柔らかく、木の芽が爽やかで美味しい一品でした。漬物は胡瓜・山芋・蕪です。 「あんみつ」は番茶寒天・餡・白玉・桃です。白玉はもっと柔らかくもちもちっとした方が美味しいでしょう。 「生姜アイス」はさっぱりとしていて、ちゃんとミルクや卵の美味しさのある一品でした。 この日が特別とは思えないくらい、同伴と接待の客が多いようです。両隣は常連のようで、普通に食事を楽しみにして来た私達はやや居心地が悪いのが拭えませんでした。サービスが悪いというのではないのですが、雰囲気に馴染めず、残念でした。 トイレが男女共用でひとつしかないというのは…あまり好きではありません。場所的には、カウンター席との間に壁があり、とても配慮されてはいるようで良かったのですが。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 05月 14日
母の日のプレゼントを買いに行き、三階のラウンジに行った。一階から螺旋階段を上って行くと、白い壁と白いテーブルと椅子が、まさしく真珠をイメージして作られていると感じさせる。
笑顔の素敵な女性の支配人やギャルソンのサービスはグランメゾン級で居心地が良い。写真撮影もすんなり許可してもらえた。だめかと思っていたのだが、テーブルの上の配置を直してくれたくらい協力的なのに驚いた。普段は写真撮影をしないのだが、こちらは新しいカフェなので記念にと撮らせてもらった。 「パール」はお店の一押しのデザートで、ミキモトの真珠をイメージしたものだ。白く丸いドーム型のムースの上にホワイトチョコレートが乗せてあり、ソースの色も白だ。白きくらげやパールタピオカも色に拘っているようで、それが伝わってくる。健康と美のためのデザートのようだ。 「ココナッツとバナナのタルト」はもう少しココナッツを効かせて欲しい。程よく熟したバナナを使っているのが感じられた。しかし、このバナナにココナッツが押されてしまっている。美味しいのは美味しいのだが、私自身、ココナッツ味が好きなので残念だった。 「ビギン ザ ハピネス」(もしかしたら名前が間違っているかもしれません)という紅茶はギネスブックにも載った世界初のフレーバーティーだそうだ。甘い香りがとても良く、すっきりした美味しさのある紅茶です。バラや矢車草の花びらやオレンジピール等が入り、緑茶もブレンドされているようでした。 大理石のテーブルはとても素敵なのですが、デザートとお茶のセットを置くのには二人分はきつい大きさです。平日の午後というのもあり、混んでいなかったので、席の間隔が多少狭くても、他の客はあまり気にならなかった。女性客がほとんどで、男性は2名だけでした。 ![]() ここは1人カフェしても、スタッフの気配りが行き届いているので、落ち着いてお茶できるラウンジだと思いました。アスパラのムース?というような気になるデザートがまだ沢山あったので、また行ってみたいと思います。 2006年 05月 14日
まだ5月だというのに、巷では紫や真っ白のテッセンが咲き誇っている頃に「ル・マンジュ・トゥー」を訪問しました。
このお店は住宅街の中にあり、地図を頼りになんとか探し当てました。初めての訪問では、ややわかりにくいかもしれません。 戸を開けると一階が厨房になっていて、私たちがドアを開けて入っても、3人のシェフは顔も上げずに真剣に料理に取り組んでいました。連れが声をかけると、オーナーシェフが顔を上げて、笑顔で応えてくれ、二階に上がるよう案内してくれました。 最初の客のようで、窓際の席を希望すると、そちらに移動させてくれ、落ち着きました。フロアはあまり広くないので、少しBGMが大きいと感じました。ベランダがあり、そこからは街行く人達が見えます。 食前酒には凍らせたオレンジの入ったシャンパンカクテルを頂き、料理を待ちます。これは季節のフルーツを使っているそうです。が、なぜ今の時期にオレンジ?と不思議に思いました。今なら、路地の苺が一番適しているように思うのですが…。 先にパンとバターがサービスされ、料理を待ちきれずに食べました。他の客が次々に入ってきますが、料理の出方が遅いようです。 最初は「ホタテとトコブシのソテー」で、イベリコ豚が隠し味になっています。 「フォアグラのソテー」はハンガリー産で、蕪と筍が添えてあります。最初にギャルソンが「フォアグラはフランスからの輸入ができないので、ハンガリー産のものを使っています。」と説明があったのに、マダムが「ランド産のフォアグラ」と言われたので、思わず聞き返してしまいました。やはり「ハンガリー産」でした。 他の席でも間違えていましたが、ずっとランド産のものを使用していたために頭から離れないのでしょう。グラスの貴腐ワインはなく、白ワインで頂きました。蕪がかなり硬く、不満足でした。フォアグラの外はカリっと焼かれていましたが、中はレアです。 「真鯛のポアレ」は小松菜の蕾が添えてありました。小松菜の蕾は初めて頂きましたが、見た目も味も菜の花のようです。真鯛は皮がパリっと焼かれていました。 「赤ピーマンとオレンジの冷スープ」は、トマトを思わせるようなお味でした。黒胡椒がアクセントになっています。 メインの一皿目は「ランド産鳩の胸肉」。骨付きのため、フィンガーボールが用意されます。人参グラッセが添えられてあります。 メインの二皿目は「ランド産鳩のササミ フォアグラと鳩の身とレバーのムース 根セロリのピュレー」が先に出され、後にスペシャリテでもある「鳩のスープと腿肉」が出されました。根セロリのピュレーは美味しかったのだけど、ブロッコリーは焼き色が付いているものの、ほとんど生の状態で驚きました。滅多にないけれど、私の口に合わず、ムースとスープは半分残してしまいました。 「フレッシュチーズ」は自家製のカッテージチーズのようでした。果糖とメープルシロップが添えられていて、どちらをかけても大変美味しくなりました。 デザートは「ラムレーズン入りカスタードクリームの春巻き」と「ショコラアイス」。カスタードクリームが半透明でサツマイモのような味なのが不思議でした。ショコラアイスは削ったチョコレートを付けて食べるようになっています。こちらは美味しい味でした。 最後のコーヒーは、どこのお店でもそうであるように、とても濃いコーヒーでした。 もう一品食べたいと思えるくらいで量が少ないフレンチです。蕪とブロッコリーの硬さには閉口しました。味は凡庸で、料理の出てくる時間が遅く、満足できませんでした。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 05月 07日
激しい春雷があり、食事に行けるのかと心配していたが、なんとか雷だけは止んでほっとした。雨風が吹き付ける中、地図を見ても、案内板を見ても、どこから3階に上っていけば良いのかわかりにくい。やっと探し当てたのが階段で、これで3階まで上って行けというのは不親切だと思った。
一階分を上ると、同じフロアの寿司店『鮨 すきやばし次郎』が見えたので、タクシーから降りた場所が2階だった事がわかった。初めて訪れる人には、とてもわかりにくい構造になっている。3階のフロアをぐるっと回って探すと、やっと「厲家菜」が見つかった。 予約の名前を告げると「お待ちしておりました。」とこぢんまりした個室に案内された。テーブルを見ると、最大6人収納できる部屋のようだ。二人ではやや広く感じるが、6人だと狭いような気がした。落ち着いた色合いの調度品で、やや落とした照明。壁の飾り棚には白い陶器の壷がいくつも飾ってある。BGMはなく、シーンとしている。思わず話し声が小さくなった。 最初は青島ビールを頼んだ。『メゾン・ド・ウメモト上海』のように青島ビールのゴールドが出てくるのかと思っていたら、普通の緑の瓶のものが、薄い上品なグラスに注がれた。箸置きは翡翠で、スプーンは銀のようだが、箸は銀ではない。紹興酒のグラスも薄く上品なグラスだ。 前菜15品は3回に分けて供される。最初の5品は「特別な豆腐料理(豚肉と豆腐の炒め)」、「蒸し鶏の葱山椒ソース」、「牛フィレ肉の揚げ物香味ソースがけ」、「タラの網脂揚げ物」、「人参、香草、筍、すぐき菜、きゅうりの炒め」だ。豆腐は緑豆を発酵させた珍しいものを使っていたりする。この中では、牛肉の料理と魚料理が気に入った。香辛料がくど過ぎず、絶妙な味付けとなり、とても美味しい。 それぞれが、一口二口で食べられる量であり、いろいろな種類の素材を、いろいろな料理法で仕上げているので、沢山あっても飽きることなく食べられる。私には、多種多様の料理が少量ずつ食べられる形の食事は大好きなので嬉しい。 2度目の5品は、「蓮根はさみ揚げ」、「海老の錦糸卵揚げ」、「鶏肉と海老のすり身揚げ物」、「羊肉の焼き物」、「セロリと海老子の酢和え」だ。羊肉の焼き物が絶品だと説明されたのだが、私は蓮根のはさみ揚げとセロリの酢の物が気に入った。確かに、しっかりと下味がつけられ、手間隙がかかっているのは窺えた。鶏肉とすり身の揚げ物も手間がかかっている。セロリの酢の物は一般の人には酢がきついかもしれない。私は甘みと酸味の調和さえ取れていれば、かなり酸っぱくても大丈夫だし、そういうのが好みなので美味しくいただけた。 最後の5品は、「翡翠のような豆腐料理」、「白菜の芥子漬け」、「北京風豚バラ肉の薫製」、「骨付き豚肉の甘酢味」、「緑豆餅の揚げ物」だ。翡翠のような・・・はずんだ餅をおかずにしたような感じだ。白菜は甘酸っぱくあり、辛子の風味が広がる。中心の柔らかい葉だけを使っているという贅沢な一品。豚バラ肉の薫製はビーツで染めてあると聞いて驚いた。骨付き豚肉はすんなりと骨が外れる程、柔らかく煮込まれている。思わずご飯が欲しくなるくらい美味しい。緑豆餅は時間が経つと段々と硬くなっていくので先に食べるように言われた。特製の醤油をつけて頂く。前菜だけで約1時間。結構お腹もいっぱいになってきている。 次に「フカヒレの蒸し物」が供された。極太の背ビレのもので、かなり濃厚だ。黒酢が欲しかったのだが、店の趣旨が「西太后の食事」なので、そのままを頂くのが一番良いかと思われ、なかなか言い出せないでいたのだが、支配人が聞いてくれて、頼んだ。この黒酢も結構濃くせのあるタイプのようだ。料理によっては、多少アレンジを加えていたり、昔のレシピそのままに調理されていたりするようだ。 「蒸し鮑と豚バラ肉の煮込み ご飯」が供された。これはアレンジされた丼だ。ご飯は魚沼産のこしひかりを使用しているそうで、『小室』の次に美味しいと思う白飯だ。豚バラ肉の汁がご飯にもかかっていて、丼好きにはたまらない一品だろう。とても美味しい。 「オマール海老と筍の甘酢あんかけ」は甘過ぎで口に合わず、残念だった。 「いかの卵巣と冬虫夏草のスープ」はアワビ茸も入った健康に良さそうなスープだ。冬虫夏草も当然入っている。思い切って食べたが、違和感はなかった。 一番楽しみにしていた「三不粘(サンブータン)」は、「皿に付かず、箸に付かず、歯に付かず」という意味のデザートだ。見た目は、クレープ生地を厚めにして、焦げ目を付けずに焼いたホットケーキのようなもので、色がとても鮮やかな黄色だ。このデザートは、高貴な色であるため紫禁城内でしか食べることができなかったそうだ。 切り分けられると、確かに皿には付いていない。ナイフにも付いていない。しかし、箸で千切ると、箸にくっついてきた。おそらく銀の箸であるならば、付かないのだろう。味は『と村』で食べた「葛焼き」に似ている。葛っぽい柔らかい食感があり、卵と砂糖の甘みが口に広がる。 「北京風ヨーグルト」は発酵させたものではなく、オーブンで焼いて作るそうだ。確かに食べたことのない味だ。柔らかく酸味がある。固まり方は、杏仁豆腐より緩いプディングに近い感じがする。 ここはサービスのお茶もないようだ。ジャスミン茶を頼んだのだが、ポットが二千円でしっかり請求されていた。確かに渋みも雑味もなく、すっきりした良いお茶だったから、仕方ないか。 支配人も給仕人もわりとお話をするようだ。いろいろと料理法など質問してくださいと言われた。この日の客は二組だったので、まめに部屋にサービスしに来てもらえたようだった。最初、あまりに静か過ぎて気になっていたのも、食事が進むにつれて、気にならなくなってきていた。 お勘定を済ませようと声を掛けようとした時には、見つからず、部屋から出ると、どこがどこだかわからなくなり、思わず扉を開こうとしたら鍵が掛かっているので驚いた。予約客がすべて来店したら閉めてしまうようだ。帰りの際に鍵が開かれた。タクシー乗り場を聞くとエレベーターまで案内してくれた。 エレベーターは別の場所にあったのだ。そこは一階が道路に面していた。不思議な造りの建物だ。 KEI 2006年 05月 03日
ハナミズキが満開になる頃「レディタント・ザ・トトキ」を訪ねた。ここも以前から気になっていたお店のひとつだ。フレンチの進化系とはどんなものなのだろう?期待しすぎてはいけないといつも思ってはいるものの、やはり期待してしまう。
お店の入っているビルは並木通りに面していて、わかりやすい。ちょっと変わった(お洒落な?)自動ドアを入り、エレベーターを待っている時、同じビルに「てんぷらの近藤」や有名な美容クリニックが入っているのも見つけた。 1フロアに1店という造りになっているビルなので、エレベーターを降りるとお店になる。すぐにサービスに不安が湧いた。まだ、客は少ないのに、出入り口の所で待たされたからだ。フロアが細長く、奥にいるとサービススタッフから出入り口が見えないようになっていた。 店内は鰻の寝床のような細長い造りになっていて、それでカウンター仕様なのかもしれないと感じた。一番奥には、半個室のようなテーブル席もあった。 自家製の木苺エキスの入ったシャンパンカクテルを飲みながら、連れとメニューの相談。メニューはプリティクスで、コースの値段にプラスαされるものが多く、コースの値段はあってないようなものだと感じた。プラスαされる料理に魅力的な素材を使っているようで、強かな戦略を感じてしまった。 アミューズ・ブーシュは「シトケイ(山梨県庄内産の珍しい山菜)の天麩羅 オリーブのマリネ 蛸のマリネ」の三品が出された。オリーブは新鮮さが感じられ、美味しい。 次は「ホワイトアスパラのムースと桜鯛のゼリー仕立て」。ホワイトアスパラのムースの下にも、切ったホワイトアスパラがあった。ホワイトアスパラの甘みがムースと相まって美味しい。河豚の皮の湯引きも添えられていた。これはポン酢で味付けされていた。アサリのスープのゼリーの塩加減がムースの甘みと相性が良かった。 「フォアグラと網笠茸のロースト」は筍とポーチド・エッグが添えられていた。ポルト酒のソースで頂く。甘いワインを頼んだら、ちゃんと貴腐ワインが供された。フォアグラは美味しいけれど、何か物足りない感じがした。 プラスα(+6,000円)で選んだ「鮑の炭火焼 肝ソース」は、鮑を蒸してから、炭火でさっと焼いたもの。鮑はとても上質なものだという事がわかるのに、味が凡庸なのが不思議で、残念でした。 「ホロホロ鳥のコンフィ」は、いろいろな部位と人参・玉葱・金針菜等のソテーのお皿だったが、私の口には合わず、残念でした。 パンは焼き立てのようで、温かく、バターも鮮度が良く、美味しかった。 デザートは「桜のゼリーとブラマンジェ」で、塩漬けの桜の花が入ったゼリーは塩気があり、ブラマンジュの甘みを引き立てていて美味しいのだが、前菜のホワイトアスパラの一品とダブった感が否めない。 メインデザートは「苺のミルフィーユとバニラアイス」。パイ生地はサクサクと軽く、上等で、カスタードクリームもバニラアイスもレベルの高いもので美味しかった。 コーヒーを頂き、小菓子のカヌレとクッキーはテイクアウトさせてもらった。カヌレは美味しくなかったが、クッキーは舌の上でさらりと溶け、美味しかった。名前は忘れてしまったが、焦げないように低温で焼いて、焼き上がりに粉砂糖をまぶして仕上げる、真っ白のクッキーと似ていた。 私の隣には空いている席が3席あったのだが、途中、客が二人入った。その案内の仕方が変だと思った。普通3席空いていれば、隣の客との間の一席を空けて案内するが、わざわざ端を空けて、そこを荷物置きにしていた。悪く考えれば、私の横に荷物を置かせたくなかったということにもなるだろう。私が案内された時は、隣が空いていたにも関わらず、荷物置きにどうぞの声はなかった。 その上、隣の客との間はほとんどない為、こちらに料理が運ばれる時も、隣の客に料理が運ばれる時も、お互いに体を傾けて、避けなければならない状況におかれた。 和食のカウンター割烹の場合、カウンターの前から料理を供されるのでほとんど気にならないのだが、この店では後ろから、料理が運ばれるので、その度に体を斜めにして避けなければならない。隣との間にゆとりの空間があれば、それも問題ないのだろうが、ナイフとフォークを使うだけで、隣の客と当たりそうになるくらい席の間隔が狭いのだ。 フレンチで、きちんとサービスするのであれば、カウンターでは無理があるように感じた。落ち着いて食事をしたい人には向かない店だと思う。また、マスコミに踊らされた感が否めない。期待し過ぎてはいけないと自分を戒めた。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 04月 23日
八重桜も散り始める4月中旬に、美味しい筍を食べるために「京味」を訪れた。2月に訪問した際、4月15日頃から末までが筍が一番美味しいと聞いていたからだ。本当に旬の筍は、糠であく抜きする必要もないくらい美味しいそうだ。
以前、筍の刺身なるのもが食べたくて、千葉まで筍狩りに行った事があるのだが、あくがあり美味しくなかった。朝取りと謳っていたが、実際はどうなのだろうと疑問に思っていた。どんな筍料理が味わえるのか楽しみだ。 梅酒を飲みながら、料理を待つ。メニューはおまかせなので、悩むこともなく気楽だ。もちろん、あれこれと悩んで決めるのも楽しいというのはあるのだが、その日の仕入れで一番美味しいと思われる料理を料理人の采配で出されるのも謎があって楽しい。 カウンターの端の席に座らせてもらったら、前回もサービスしてくれた若手の料理人と目があった。どうやら覚えていてくれたような笑顔で迎えてくれたのも嬉しい。 最初に供されたのは「鯛の粽、ゴリの甘露煮、コゴミの胡麻和え」だ。最初にちょっと米の料理が出されるのはお腹が空いている身に嬉しい。粽は寿司飯の酢加減も調度良く美味しい。コゴミの胡麻和えは季節を感じる一品だ。 次は「焼き筍」が供された。2時間以上、皮つきのままで焼くそうだ。黒くなった皮を剥き、湯気の上がっている筍をご主人の西さんが切り分ける。木の芽のみじん切りを入れた醤油を刷毛でさっと塗る。あくなど微塵も感じられず、筍本来の旨みが味わえられる。木の芽の爽やかさが一層筍の味を引き立てている。とても美味しい一品だ。 「木の芽田楽」は口に含むと凝縮された豆腐と木の芽味噌の味が広がる。何か木の芽だけでない味も感じられ、聞いてみると「ほうれん草も入れてあります。」との事だった。 「めいきの煮物」は生姜が添えられていて、ほっとする味だ。 「うすい豆の甘煮」は、ほんのりとした甘みで美味しい。普通のグリーンピースより色が薄く、皮も薄い「うすい豆」を使っているため、舌触りも良い。 「鯛の白子、浜防風」は河豚の白子を思わせるくらい美味しい。土佐酢の味付けが良いのだろうか。口福を感じる一品だ。 「白魚と芹の天麩羅」は前回も登場した一品なのだが、今回は白魚の成長が感じられた。大きさが以前食べたものより1.5倍くらい大きいようだ。あっさりとした白身で美味しい。 「お造り」は鯛、鰈、鳥貝の三品。どれもこりっとしていて甘みがあり美味しい。 「白子豆腐のお椀」は白子豆腐(白子とすり身で作った豆腐)に菜の花が添えてあり、葛仕立てになっている。白子豆腐は、滑らかな舌触りと旨みがあり、とても美味しい。 「炊き合わせ」は鯛の子、筍、蕗、蓬麩だ。鯛の子の舌触りが楽しく、とても美味しい。それぞれ味がしっかりと含まれていて幸せを感じる。 「渡り蟹の山吹和え」は渡り蟹の身をほぐし、それに、渡り蟹の子をまぶしたものだ。これを「山吹和え」と呼ぶと西さんが教えてくれた。今の時期、山吹も満開で、風情がある料理だ。添えてある蕨は土佐酢に山葵を入れたものに漬けてみたそうで、漬ける時間等で味が損なわれる恐れのある繊細な料理だそうだ。蟹の甘みを引き立てる味になっていた。これも美味しい。 「筍ご飯」は筍とうすい豆が入っていた。うすい豆の味が勝っていて、筍の味があまりしなかったのが残念だ。「ハラスご飯」は相変わらず美味しい。 デザートは「葛きり」と「ぜんざい」の二品を頂いた。相変わらず葛きりは美味しい。今回は中堅のお弟子さんが葛きりを作っていたせいか、やや細めになっていた。「ぜんざい」はあくを全く抜いていないというお話を聞いて驚いた。食べていて、あくは全然感じられないからだ。とても美味しい。 店を出ると西さんは松葉杖をつきながら見送ってくれた。次は「鱧と早松の時期にいらっしゃい。」とのお誘いを受けたので、次回の訪問も楽しみだ。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 04月 16日
ラ・ターブルド・コンマは246号線沿いというわかりやすい場所にある。ビルの一階なのだが、中に入ると中庭の椿の大木が見え、まるで郊外の一軒家にいるのかと錯覚しそうだ。
花も数箇所に活けてあるし、テーブルにも花が飾ってあり、華やいだ気持ちになる。席に案内され、椅子に座ると、食事をするにはテーブルが高く感じられた。 苺の入ったシャンパンカクテルを飲みながらメニューを連れと相談する。美味しいカクテルを頂いていると、2種類のチーズパイが供された。薄く、軽く、ツマミに美味しい。 メニューにはないが、シェフお任せのコースがあると聞いていたので、ギャルソンヌに尋ねると、スーシェフがメニューの内容を説明してくれ、私達が食べたいと思っていたものが含まれていたので、それを注文した。 「栃木のフレッシュトマトのサラダ」は、トマトが甘く、ドレッシングも美味しい。 「春野菜の一皿」は、ホワイトアスパラ・グリーンアスパラ・スナックエンドウ・菜の花・蚕豆・グリーンピースなどの春野菜のポワレだ。普段は脇役の野菜達が主役となっている一品だ。菜の花やグリーンアスパラがやや柔らか過ぎるのが気になったが、しみじみとした美味しさがある。 「ホワイトアスパラのタルトとモリーユ茸」。タルトと言うよりは、折りパイのようで、幾層にも丁寧に作られているのが感じられる。モリーユ茸のソースも美味しい。 「手長海老と熊本産の筍のポワレ」は海老のソースが美味しい。筍はややえぐみが残っているのが残念だったが、海老はぷりぷりしていて甘く、美味しい。 「鴨肉の一皿」は鴨の胸肉・腿肉・レバー・砂肝に辛子菜と独活が添えられている。胸肉の皮はぱりっと焼かれていて美味しい。 パンは全粒粉を使ったもので、焼き立てのようで温かく美味しい。バターが鮮度も質も良いようで、さっぱりとしていて旨みがあり、美味しい。 「温かいチョコレートケーキとバナナアイス」はナイフを入れるとケーキの中から溶けたチョコレートが流れ出す。添えられたクリームをつけて食べても美味しいし、バナナアイスと一緒に食べても美味しい。バナナアイスもべたっとした感じがなく、上品な甘さでとても美味しい。 「グリーンアスパラのアイス ドライトマト添え」は、グリーンアスパラをチョコレートのパイで挟んである。アイスとドライトマトを一緒に食べるようアドバイスされた。 グリーンアスパラのアイスは初めて食べたのだが、あの緑の野菜がこのような美味しいアイスに変身するのかと驚いた。ドライトマトはもちもちっとした感触で、甘みが凝縮されていた。グリーンアスパラのアイスと一緒に食べると美味しい。 最後はコーヒーを頼んだのだが、最近の傾向なのか、エスプレッソに近いような濃いコーヒーだ。お砂糖は三種類で、白糖と黒糖と和三盆が用意されていた。 チョコレートも7種類くらい小菓子として供されたのだが、テイクアウトを頼むと快く引き受けてくれた。唯一、溶けやすいチョコレートだけはテイクアウトできないとのことでそれだけ頂いた。口に含むとすぐに溶けるくらい温度に敏感なチョコレートだった。 この日、雨も降っている平日の夜で、客は私達を入れて二組だけだった。その客が、あまりにも無粋な会話を大声でしていたので、食事の途中に席を替えてもらった。訳は言わなくても理解されたようで、すぐに離れた席に移動させてくれた。 ギャルソンヌもスーシェフも礼儀正しいが慇懃無礼ではなく、気持ち良いサービスを提供してくれた。料理はどれも美味しく、客に美味しいものを食べさせたいという気持ちが伝わるものばかりだった。 値段以上の価値があると思う。場所が都心から離れていなければ、もっと良いと思ったのだが、また訪問したいと思う店に会えて嬉しい。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 04月 08日
「春秋」は場所としてはわかりやすいのだけれども、店は見つけ難い。ドアの取っ手が庖丁の形になっていたのに驚いた。
予約の時間よりも10分近く早く着いてしまったのだが、雨も降っていたので店に入り、予約の名前と早く着いてしまったことを告げると、料理はすぐには出せないが座って待つよう言われ、お茶まで出してくれた。以前の嫌な記憶が蘇るかと杞憂したが、交通事情により時間をきっちりというのは難しい事を理解してくれている上、雨の中をと労ってくれたのも嬉しかった。 サービスとは、こういう心遣い一つで質が違ってくるものだ。給仕の女の子達も嫌な顔をするどころか、笑顔でおしぼりを持って来たり、飲み物の注文を聞きに来てくれた。上の人がきちんとしていると、下で働く人もきちんとするものなのだろうと感心した。と、いうか、これは極当たり前の事なのだけど、できていない店が多過ぎるので、ありがたいと思った。 おまかせだけで、飲み物のメニューもなく、口頭で答えてくれる。私はライチ酒をロックでお願いした。甘いお酒と聞いていたのだが、そんなにも甘くないのだが、あまり私の口には合わなかった。 前菜の「ピータン豆腐」は中華風白和えのような一品だ。 「子持ちヤリイカ」は八角で煮てある。 「鶏レバーの焼き物」はズッキーニが敷いてあり、蜂蜜で味付けしている。 「才巻き海老の揚げ物」は山椒で味付けしてある。フィンガーボールが用意され、手で皮を剥いて食べる。からっと揚がっていて、頭の部分だけ外すと後は尾まで食べられる。 「スッポンスープ」は表面にかなり油が浮いていたが、生姜が油っぽさを緩和していた。 「牛肉と丸茄子の炒め」は、牛肉・丸茄子・筍・玉葱を炒めたもの。 「魚の蒸し物」は、マナガツオに椎茸、葉三つ葉、野菜を乗せて蒸したもの。 「地鶏の皮の北京ダック風」は、皮がぱりっとしているが、やはり家鴨の皮にはかなわないと思った。 「フカヒレの姿煮」は、フカヒレが丸ごと煮てあり、黒酢を垂らして食べる。フカヒレの黒い部分が気になった。 おまかせコースでは、この後デザートとなるのだが、私と連れは物足りなく「炒飯」と「汁ソバ」を追加注文した。 デザートは「杏仁豆腐」。柔らかいのは嬉しいのだが、甘みがかなり足りない。 店の雰囲気も、マダムも給仕の女の子達のサービスもとても良い。気持ちよく食事できる店だと思う。 中華で薄味なのは、美味しければかまわない。創作だろうと、本格派だろうと、美味しければ良いのだ。むしろ、ギトギトと油っぽいものよりは良い。 最初はあっさりした味付けだったが、海老の揚げ物辺りから、油が段々と強くなってきた。特筆するような美味しい料理は残念ながらなかった。雰囲気もサービスも良いのに、料理が私の口に合わなかったのが残念だった。 ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。 http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/ 2006年 04月 05日
すでに「量より質」で選ぶ年齢になってから久しい。すべての物に「ピンからキリまであること」も、歳を重ねる毎に、頭だけでなく、身にしみて理解してきた。と 言うか、理解させられてきたような気もする。
同じ種類の同じ物でも、「こんなにも違うのはなぜ?」と不思議に思う事がある。しかし、それは必然でもある。当たり前の事だが、同じ日本人でも顔は違う。顔が違わなければ認識もできないであろう。 桜満開の時期に、部屋に桜を飾る。1本2,000円だが、花も沢山付いていて、立派な枝ぶりだ。質が高い。他の花屋で見た桜は2本840円だったが、花がたいそう貧弱で、すぐに散ってしまいそうに咲いていた。質の悪いものを買えば、安いかもしれないが、楽しめる時期は短く、また、そのものの満足感も低いだろう。質の良いものならば、その時は高く感じるかもしれないが、長く楽しめ、しかも満足度も高いと思う。どちらを選ぶかは、人それぞれだが、私は質で選びたい。 食べ物にしても同じで、「量より質」を選ぶ方が良い。100円の美味しくもないケーキを10個食べるよりは600円の美味しいケーキを1個食べる方がよっぽど良いと思う。そういう考えで、食べ歩きをして、「極上の味」を求めている。 考え方は人それぞれだし、味覚も違う。自分の嗜好を他人に押し付けるつもりもない。ただ、「美味しかった」ものに関して、素直に伝えたいとは思う。他人の感想等については「ああ、こういう人もいるんだ」程度でしか読まない。私の文もそれで良いと思っている。私は、自分の舌で感じた事を、自分の頭で考えて、感想文を書いている。
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