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東京での和・洋・中と極上の味を求めて、いろいろ食べ歩いた記録です。


by gokujyounoazi

 パークハイアットには久々に来た。ここの『ピークラウンジ』のアフタヌーンティーがお気に入りなのだ。駅から遠いのだが、新宿西口エルタワー前から、無料の送迎バスが出ている。しかし、アフタヌーンティーを楽しむには時間に余裕がないと意味がなく、最近は行っていない。

 この日は当日思い立っての外食なため、何軒か電話したのだが、予約は満席で断られる店がほとんどだったが、『梢』は予約できて助かった。さすがはホテル内にある店だ。キャパが広いので当日でも余裕があるのだろう。ただ、失敗したのは、予約の際「窓際の席にしてください。」とお願いするのを忘れていたことだ。眺望の良い窓際から予約は埋まっていく。この店の魅力の一つは40階からの夜景だからだ。残念だが仕方ない。

 この店には何度か来たことがあるのだが、この日は入り口がどこかわからなかった。今までは開店している時間に訪れていたのだが、この日は予約が開店と同時で、10分くらい早く着いてしまったのだ。扉が開いている時といない時では、ずいぶんと印象が変わるものだ。近くのソファに座って、開店するのを待った。

 5時30分。開店で扉が開かれた。いつもの見慣れた「梢」の顔になり、なぜだが安堵した。入り口で予約の名を告げると席に案内された。窓際と通路を挟んだ席だ。夜膳の「匠」を選び、梅酒を飲みながら料理を待つ。コシノジュンコプロディースの梅酒ということだが・・・なにがどう違うのだろうか?と言う感じだ。ただ、甘みはあるのかないのかのぎりぎりのラインで、料理の邪魔にならず、すっきりとした味わいとなっていて、美味しい。

 「先付」2種の一つは、鱧の皮を霜降りに焼いてある生のものと湯引き鱧だ。梅肉と黄身酢が用意されていて好みで付けて食べる。梅肉より黄身酢の方が美味しいように思った。

 もう一つは、赤イカのお造りに莫久来が・・・。注文をした時に苦手なものはないかと尋ねられたのだが、今まで出てきたことがなかったのであえて言わなかったのだが、ホヤは苦手だ。

 「莫久来(バクライ)」は海鼠腸とホヤの塩辛だということだ。高級珍味とのことで、おそるおそる口に入れてみた。「生臭くない?!」不思議だった。どちらかというとまろやかな旨味がある。海鼠腸のおかげなのか、嫌悪感よりも高感度が高い。いや、美味しい!塩雲丹のような感じでお酒が進む美味しさがある。以前食べたホヤは生臭く、口に一秒足りとも入れておくのが嫌な味だった。いくら海鼠腸が好きだからといっても、それが打ち消されるはずもないだろう。ホヤもまた、「ピンからキリ」が強くある食材なのだろうと思った。

「椀盛り」は江の島椀というサザエと黄ニラのたっぷりと入った椀だ。

「造り」は氷が敷き詰められた深皿に三本の氷柱が立てられていて、その上に蓮の葉が乗せられた涼しげな演出だ。トロ・真子鰈・新秋刀魚のお刺身はどれも脂が乗っていて美味しい。

「八寸」は、鱧寿司・鱧の子の煮凝り・穴子八幡巻き・土佐トマト・合鴨ロース・玉子のカステラなどが大皿に彩りよく綺麗に盛られてきた。穴子八幡巻きや玉子のカステラが美味しかった。

「焼物」は米沢牛岩塩焼きだが、岩塩は自分の好みで調整できるようにしてあると嬉しい。岩塩が多くて、しょっぱかったのが残念だ。

「進肴」は加茂茄子苺煮だ。海胆は火が通って甘さが増していて、加茂茄子との相性もよく、とても美味しい。

「食事」は「かつお冷し汁ご飯」を選んだ。珍しいのもあり食べてみたかったのだ。最初は冷し汁をかけずに一口食べてから、冷し汁をかけて食べるよう仲居さんに言われたので、その通りにしてみた。断然冷し汁をかけた方が美味しい。暑い時期にぴったりの暑気払いのご飯だ。食欲がなくても、さらさらとかっこむことができそうだ。

「デザート」はトマトの塩アイスクリーム・黒豆だ。氷を敷き詰めた皿の上に最中を乗せて出された。最中の中にトマトの塩アイスクリームとバニラアイスクリームが入っている。トマトの塩アイスクリームは・・・「これって美味しいと思って出されているのだろうか?」と疑問を抱いた。「ちゃんと試食している?」「なぜ、わざわざ塩を使うの?」と段々と腹が立ってくる味だ。これだけ嫌悪感を抱いたデザートは生まれて初めてかもしれない。良い材料をわざわざ味を落とす必要もないだろうに、料理人の考えが理解不能だ。「口に合わない」とか「残念」という言葉では表せないくらい不快になってしまった。

 料理はほどほどに美味しいし、夜景も綺麗だし、さすがにホテルの中だけあって、接客態度は悪くない。が、人数が足りないようで、サービスに満点はあげられない。料理に関する知識も今一つで、質問に答えられず、何度も厨房に聞きに行っていた。

 値段を考えると、料理以外に掛かっているものが高過ぎるのであろうと思われるくらいコストパフォーマンスがあまりにも悪い。料理の味よりも、雰囲気重視のデートやアニバーサリーなら良いかもしれない。しかし、同じ金額を出して食べるのならば、他の店の方が良いと思った。
                                 KEI

ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。
http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/
by gokujyounoazi | 2006-09-10 15:00 | 和食